
宅建試験には、本試験が5問免除になる「登録講習(いわゆる5問免除講習)」という制度があります。
正しく利用すれば、試験が 50問 → 45問 になり、実質5点ぶんのアドバンテージが得られる、とても強力な制度です。
ただし、
- 宅建業に従事している人だけが対象
- 「宅建試験の申込み時点」で登録講習を修了していること
など、厳しめの条件や時期の縛りがあり、仕組みを理解していないと「間に合わなかった…」というケースも少なくありません。
👉宅建試験について詳しくはこちらで解説しています。
この記事わかること
- 5問免除(登録講習)の制度の概要
- 利用できる人・できない人の条件
- 登録講習の具体的な流れ・必要期間
- よくある落とし穴と注意点
- 主要スクール(登録講習機関)の比較ポイント
登録講習を検討している方はぜひ参考にしてください。
宅建の5問免除(登録講習)とは?

まずは概要を表に整理しました。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 免除される問題 | 本試験50問のうち後半5問(税・その他)が免除 |
| 合格率 | 一般17.8% / 免除者21.9%(令和6年度) |
| 対象者(受講できる人) | ・宅建業者に勤務している ・従業者証明書を交付されている |
| 受講方法 | 通信学習+1〜2日のスクーリング |
| 費用の目安 | 約1〜2万円台 |
| 申し込み時期 | 4〜6月に受講が一般的 |
| 有効期間 | 修了後3年間の宅建試験で利用可 |
宅建試験は原則として50問・4肢択一式のマークシート試験です。
そのうち、登録講習(5問免除)を修了した受験生は、本試験で解答する問題数が50問 → 45問になります。
つまり、解答負担が減るぶん、相対的に有利に試験を進められる制度です。
5問免除(登録講習)のポイント
- 本試験で解く問題が45問だけになる
- 合格基準点も5点ぶん低く設定される
- 講習を修了した人だけが利用できる制度
免除される5問の範囲と、有利になる理由

免除される5問の範囲は?
宅建試験は全50問ですが、登録講習を修了している場合は後半の5問(税・その他)が免除され、解答するのは45問だけになります。
宅建試験の構成は次のとおりです。
| 分野 | 出題数 |
|---|---|
| 宅建業法 | 20問 |
| 権利関係 | 14問 |
| 法令上の制限 | 8問 |
| 税・その他 | 8問(※このうち後半5問が免除) |
税・その他の中から、以下の問題が免除されます。
- 宅地及び建物の需給に関する法令並びに実務に関すること
- 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
これらの問題は、法律というより統計や一般常識のような知識を問うため、多くの受験生にとって得点しづらいのが特徴です。
なぜ「5点以上」有利になるのか
免除される「税・その他」の分野は、受験生全体の正答率が比較的低めです。
- 統計や数字の暗記が多い
- 地形や土地区分など、馴染みのないテーマが多い
といった理由から苦手とする人が多い=落としやすい問題でもあります。
そのため、この苦手な受験生が多い5問を丸ごとカットできるのは、実質的に「5点以上のアドバンテージ」になるといえます。
5問免除者の合格率は?

出典:LEC
5問免除(登録講習)を利用した受験生は、一般受験よりも毎年一貫して合格率が高い傾向があります。
最新の合格率(令和6年度)
- 一般受験者の合格率:17.8%
- 5問免除者の合格率:21.9%
登録講習の修了者は、毎年おおむね+3〜5ポイントほど合格率が高く、「本当に受かりやすい制度」であることが数字からも分かります。
5問免除:登録講習の受講条件

登録講習を受けられるのは、次の2つを満たす人だけです。
登録講習を受講できる人(必須条件)
- 宅建業者(宅建業の免許を持つ会社)に勤務している
- 勤務先から従業者証明書を交付されている
👉従業者証明書のサンプル
雇用形態(正社員・契約社員・パート・アルバイト)は関係ありません。
ポイントは「従業者証明書」があるかどうかです。
登録講習を受けられない人の例
対象にならないケース
- 不動産とは無関係の会社で事務職をしている
- 銀行・保険会社で住宅ローンや保険商品を扱っているだけ
- 不動産管理会社だが、宅建業の免許を持っていない
- 以前は宅建業者にいたが、現在は退職している
5問免除:登録講習の登録機関・流れ・必要期間

ここからは5問免除の登録講習について分かりやすく解説していきます。
登録講習はどこに申し込む?
登録講習は、国土交通大臣の登録を受けた「登録講習機関」で申し込むことができます。
📘 国土交通省|登録講習機関一覧(最新)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000074.html
どこを選ぶか迷う人のために、主な機関と特徴をまとめました。
| 講習機関 | 料金(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| LEC東京リーガルマインド | 20,000円 | 全国25拠点・約450日程に対応。 教材は「出る順」シリーズを使用。 |
| TAC | 19,000円 | 宅建指導に強いTACのノウハウを使った講習。 全国開催で初学者でも受けやすい。 |
| 日建学院 | 15,000円 | 業界最安クラスの料金。 全国校舎でスクーリング開催。 |
| 資格の大原 | 16,000円 | 全国主要校で受講可能。日程が豊富で選びやすい。 書類提出はスマホで完結(Mobile-O-hara対応)。 |
| 総合資格学院 | 16,500円 | 早期割引あり:13,200円 申込み導線がわかりやすい法定講習専用サイト。 |
※料金は2025年時点で公式サイトに明記されたもの。年度により変動するため、受講前に要確認。
最新情報は必ず公式サイトで確認してください。
受講の流れ(時系列イメージ)
多くの登録講習機関では、次のような流れで講習が進みます。
登録講習の一般的な流れ
- 講習を申し込む
└ インターネットまたは申込書で、希望日程の登録講習に申し込み - 教材が届く
└ テキスト・問題集・オンライン講義(eラーニング)のIDなどが送られてくる - 事前学習(通信部分)
└ 動画講義やテキストで、指定された範囲を事前に学習 - スクーリング(通学)
└ 1〜2日程度、教室に通って講義+まとめを受講 - 修了試験
└ スクーリングの最後に、4肢択一式の修了試験を受験 - 修了証の交付
└ 合格すると「登録講習修了者」として、宅建試験の申込みに利用できる
必要期間の目安
登録講習は、
- 申込み
- 教材到着〜通信学習
- スクーリング日程
- 修了証の発送
までを考えると、最短でも1.5〜2ヶ月程度は見ておく必要があります。
- 4〜5月:登録講習の申込み・教材到着・通信学習
- 5〜6月:スクーリング参加 → 修了試験
- 6〜7月:修了証到着 → 宅建試験の申込みで「5問免除」を選択
登録講習の注意点(よくある落とし穴3つ)

申し込み前にチェックしておきたい3つのポイント
- 修了が宅建試験の申込みに間に合わないリスク
- 勤務先が「宅建業者」ではなかったケース
- 修了証の有効期間(3年)の勘違い
注意点1:修了が宅建試験の申込みに間に合わない
登録講習は、宅建試験の申込み時点(7月頃)で修了していることが条件です。
しかし実務では、
- 希望していたスクーリング日程が満席になり、受講が後ろ倒しになる
- 修了試験には合格したものの、修了証の発送が予想より遅れた
といった理由で、「今年の試験には5問免除が使えなかった」というケースが少なくありません。
そのため、目安としては、
- 4〜5月には講習を申し込む
- スクーリング日程は複数候補を確保しておく
くらいの“早め行動”を意識しておくと安心です。
注意点2:勤務先が「宅建業者」ではなかった
登録講習を受けられるのは、あくまで宅地建物取引業者(宅建業免許を持つ会社)の従業者です。
見落としがちなのが、次のようなパターンです。
- 「不動産管理会社」だが、売買や仲介はしておらず宅建業免許を持っていない
- 社名や事業内容は不動産っぽいが、実際には宅建業免許を取得していない
申し込み後に「実は対象外だった」と判明すると時間もお金もムダになってしまうので、
- 会社のホームページや会社概要に「宅建業免許番号」が記載されているか
- 総務・上司などに宅建業免許の有無を確認する
といった形で、事前に必ずチェックしておきましょう。
注意点3:修了証の有効期間(3年)を勘違いしない
登録講習の修了証は、修了試験合格後3年以内に行われる宅建試験で有効です。
つまり、
- 今年受験するつもりで登録講習を受けたが、事情があって来年・再来年に回す
といった場合でも、3年以内の試験であれば「5問免除」を使えるということです。
ただし、
- 3年を過ぎた試験では、再度登録講習を受け直す必要がある
という点は見落としやすいので、「自分はどの年度まで使えるのか」をスケジュール帳や手帳にメモしておくと安心です。
短期間で合格を狙うなら、通信講座の併用も効果的

宅建は5問免除を利用しても、最終的な合否を分けるのは日々の学習の質です。
独学では「どこから手を付ければいい?」「優先すべき分野は?」と迷いやすく、遠回りになることも少なくありません。
そのため最近は、登録講習+通信講座という組み合わせで、短期間で効率よく合格を狙う受験生が増えています。
おすすめの通信講座は以下の記事で詳しくまとめています。
自分に合う講座が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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まとめ:登録講習(5問免除)で宅建合格を

最後に、この記事の内容を簡単におさらいしておきます。
宅建試験は、あと数点が届くかどうかで合否が分かれる試験です。
条件を満たしていて、スケジュール的にも余裕がある方にとって、登録講習(5問免除)はかなり心強い制度になります。
そして、5問免除を使う・使わないに関わらず、合否を分けるのは日々の勉強の質です。
「登録講習+効率的な勉強法」で、今年の宅建合格を一緒に目指していきましょう!
