管業攻略ノート

財産の分別管理と管理事務の報告をやさしく解説|収納口座・保管口座・保証契約・翌月末日【管業攻略ノート】

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財産の分別管理と管理事務の報告|管業攻略ノート

管理会社は、管理組合のお金を、どうやって預かっているのですか?
けんた
けんた
まずは結論
管理会社は、修繕積立金や管理費などの修繕積立金等を、自分のお金やほかの管理組合のお金と分けて管理します。収納口座に入れたお金は、費用を払った残りを翌月末日までに保管口座へ移し、収納口座を通すなら1か月分以上の保証契約を結びます。毎月の会計の書面は翌月末日までに管理者へ、事業年度が終わったら管理事務報告書で説明します。

「翌月末日」と「保証契約がいるのは収納口座を通すときだけ」を最初に覚えるのがおすすめ!

この記事は、管理業務主任者(管業)の勉強を始めたばかりの人に向けて、マンション管理適正化法の財産の分別管理と管理事務の報告を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、図を見ながらやさしく解説します。

同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。

✍ この記事を書いた人:ごりへい(宅建士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・FP2級)
海外から宅建に一発合格、賃管・管業もダブル合格。不動産業の実務経験あり。 ▶ プロフィール

動画で学ぶ|財産の分別管理と管理事務の報告(約4分)

あおい先生とけんたさんの会話で、修繕積立金等を分けて管理する理由、収納口座・保管口座の3つの方法と名義、保証契約と印鑑のルール、毎月の会計の書面、管理事務報告書と説明会を確認できます。

▼ 読んで学びたい人は、このまま下へ

口座の名義と保証契約の表、保証契約がいらない例外、2026年の改正で増えた印鑑の例外、過去問のひっかけまで、記事でくわしく解説しています。

 

お金を分けて管理する|3つの方法と翌月末日

この章の答え管理会社は、管理組合から預かる修繕積立金と管理費などのお金(修繕積立金等)を、自分のお金やほかの管理組合のお金と分けて管理します。方法は、収納口座から翌月末日までに保管口座へ移す方法、修繕積立金だけ最初から保管口座に入れる方法、収納・保管口座1つで管理する方法の3つです。

分別管理とは

あおい先生
あおい先生
分別管理とは、修繕積立金や管理費などの、管理組合のお金を、管理会社自身のお金や、ほかの管理組合のお金と、分けて管理することです。まとめて、修繕積立金等と呼びます。
あおい先生
あおい先生
なぜ分けるのかというと、管理会社が倒産したり、お金を使い込んだりしても、管理組合のお金を守れるようにするためです。

お金を分けて管理する。管理会社のお金、この管理組合のお金(修繕積立金等)、ほかの管理組合のお金を混ぜずに口座や帳簿で分ける。なぜ?倒産や使い込みから組合のお金を守る

自分のお金とも、ほかの組合のお金とも分ける

3つの管理の方法

具体的には、どんな口座で管理するのですか?
けんた
けんた
あおい先生
あおい先生
方法は3つです。1つめは、集めたお金をいったん収納口座に入れ、費用を払った残りを、翌月末日までに保管口座へ移す方法です。たとえば、10月に集めた管理費から清掃やエレベーター点検の費用を払い、残りを11月末までに保管口座へ移します。
あおい先生
あおい先生
2つめは、修繕積立金だけ、最初から保管口座に入れる方法。3つめは、収納・保管口座1つで管理する方法です。保管口座と収納・保管口座は管理組合などの名義にしますが、収納口座は管理会社の名義でもかまいません。

修繕積立金等を管理する3つの方法。1 収納口座から翌月末日までに保管口座へ、2 修繕積立金は最初から保管口座、3 収納・保管口座1つで管理。保管口座・収納・保管口座は管理組合などの名義、収納口座は管理会社の名義でもよい

収納口座から保管口座へは、翌月末日まで

ルール 中身 根拠
分けて管理する財産 修繕積立金と、管理組合や区分所有者等から受け取った管理費用に充てる金銭・有価証券(まとめて修繕積立金等) 法76条・規則87条1項/マン管 令和3 問49 ア(正)
1つめ(イ) 修繕積立金等金銭を収納口座に入れ、毎月、その月分から当月の管理事務の費用を引いた残りを、翌月末日までに保管口座へ移す 規則87条2項1号イ/管業 令和6 問49
2つめ(ロ) 修繕積立金は保管口座に直接入れ、管理費用に充てるお金は収納口座に入れて、残りを翌月末日までに保管口座へ移す 規則87条2項1号ロ
3つめ(ハ) 修繕積立金等金銭を収納・保管口座に入れて、そのまま管理する 規則87条2項1号ハ
有価証券 金融機関や証券会社に、保管場所を自分の財産・ほかの管理組合の財産と明確に分けさせ、どの管理組合のものかわかる状態で管理させる 規則87条2項2号
残りを移さないと 管理組合の承認を得ても、残りを収納口座に置いたままにはできない 管業 令和5 問49 イ(違反する)

※マンション管理適正化法76条・同施行規則87条(e-Gov法令検索の現行条文)と、公式の正答をもとに整理。

口座 どんな口座か 名義
収納口座 集めたお金を入れて、一時的に預貯金として管理する口座 定めなし(管理会社の名義でもよい)
保管口座 修繕積立金を入れたり、収納口座から残りを移したりして、預貯金として管理する口座 管理組合等(管理組合か管理者等)
収納・保管口座 集めたお金を入れて、そのまま預貯金として管理する口座 管理組合等

※規則87条6項1〜3号。管業 令和6 問49 b(収納口座は管理組合名義が必要=最も不適切)、マン管 令和3 問49 エ(保管口座を「一時的」「管理業者名義も可」=誤り)、管業 令和3 問49 エ・令和2 問48 エ(定義どおり=正)。

 

保証契約と印鑑|収納口座を通すときの守り

この章の答え収納口座を通す1つめと2つめの方法では、1か月分の修繕積立金等以上の保証契約を結びます。収納・保管口座だけで管理する3つめなら、保証契約はいりません。保管口座と収納・保管口座の印鑑やカードは、原則として管理会社が持ってはいけません。

1か月分以上の保証契約

お金が収納口座にある間は、心配ではないですか?
けんた
けんた
あおい先生
あおい先生
そこで、収納口座を通す1つめと2つめでは、1か月分の修繕積立金等以上の、保証契約を結びます。万一お金が戻らないときの備えです。3つめの、収納・保管口座だけなら、保証契約は必要ありません。

収納口座を通すときの守り。1 1つめ・2つめは保証契約(1か月分以上)、2 3つめ(収納・保管口座)は保証契約なし。保証契約とは、万一お金が戻らないときの備え

保証契約がいるのは、収納口座を通すときだけ

印鑑・カードは持てない

あおい先生
あおい先生
保管口座と、収納・保管口座の印鑑やカードは、管理会社が持ってはいけません。口座と印鑑の両方をにぎると、引き出せてしまうからです。例外は、管理者が決まるまでの短い期間などです。

保管口座の印鑑・カードは持てない。なぜ?口座と印鑑がそろうと引き出せる

保管口座の印鑑・カードは、原則として持てない

ルール 中身 根拠
保証契約がいるとき 1つめ(イ)・2つめ(ロ)の方法で管理するとき。区分所有者等から徴収する1か月分の修繕積立金等金銭(ロは管理費用に充てるお金)の合計額以上 規則87条3項本文/管業 令和6 問49 c(適切)
いらないとき 3つめ(ハ)の収納・保管口座で管理するとき 規則87条3項/管業 令和4 問49 a・令和3 問49 イ(いずれも保証契約が必要とする肢は誤り)・令和5 問49 ウ(違反しない)
イ・ロでもいらない例外 次の両方にあてはまるとき:①お金が区分所有者等から管理組合等名義の収納口座に直接入る(または管理会社や委託先が徴収しない)②管理会社がその収納口座の印鑑等を保管しない 規則87条3項ただし書/管業 令和2 問48 ア(印鑑を保管していれば承諾があっても保証契約が必要)
委託先が徴収するとき 管理会社から委託を受けた者が徴収する場合は、例外にあたらず保証契約が必要 規則87条3項ただし書1号/管業 令和6 問49 c(適切)
印鑑・カード 保管口座・収納・保管口座の印鑑、預貯金の引出用カードなどは保管してはならない(管理者等の承認があっても不可) 規則87条4項本文/管業 令和6 問49 a(適切)・令和5 問49 ア(違反する)
例外① 管理者等が置かれていないとき、管理者等が選任されるまでの比較的短い期間に限り保管する 規則87条4項1号
例外②(2026年4月から) 管理会社がその管理組合の管理者等で、5つの要件をすべて満たすとき(下の表) 規則87条4項2号

※マンション管理適正化法施行規則87条3項・4項(e-Gov法令検索の現行条文)と、公式の正答をもとに整理。

2026年4月の改正|管理会社が管理者のときの印鑑

2026年4月1日施行の規則改正で、管理会社が管理組合の管理者等になっている場合に、次の5つの要件をすべて満たせば、保管口座などの印鑑等を保管できる例外が加わりました。

要件 中身
ほかに引き受け手がいない 管理会社や密接な関係のある者のほかに、印鑑等の保管を承諾する人がいない
保管体制 不正な利用・盗難・紛失などのおそれがない、適切な保管体制を整えている
保証契約 保管口座(または収納・保管口座)にある金額以上の保証契約を結んでいる
名義 口座の名義が、管理組合のものだと一見して明らか
集会の決議 上の4つを区分所有者等に説明・書面交付したうえで、管理会社が保管する旨の集会の決議がある

※規則87条4項2号イ〜ホ(2026年4月1日施行)。令和7年度までの過去問は改正前なので、例外を「管理者等が選任されるまでの比較的短い期間」の1つだけで書いています(管業 令和4 問49 b・令和3 問49 ウ・令和2 問48 ウ、マン管 令和3 問49 イ)。今の条文では例外がもう1つあります。

 

管理組合への報告|毎月の書面と管理事務報告書

この章の答え管理会社は毎月、その月の会計の収入と支出の状況を書いた書面をつくり、翌月末日までに管理者等に渡します。事業年度が終わったら、遅滞なく管理事務報告書をつくり、管理業務主任者が管理者等に渡して説明します。管理者等がいないときや管理会社が管理者等のときは、書面は備え置き・閲覧、報告は説明会です。

毎月の会計の書面

お金の動きは、管理組合にどうやって知らせるのですか?
けんた
けんた
あおい先生
あおい先生
管理会社は、毎月、その月の会計の収入と支出の状況を書いた書面をつくり、翌月末日までに、管理者に渡します。
あおい先生
あおい先生
管理者がいないときや、管理会社が管理者のときは、書面を事務所に備え置き、区分所有者が求めたら見せます。

毎月の収入と支出の報告。1 毎月、その月の収入と支出の書面、2 翌月末日までに管理者へ交付、3 管理者なし・業者が管理者なら備え置き、4 区分所有者の求めに応じて閲覧(年度末から2か月)

毎月の書面は、翌月末日までに管理者へ

事業年度ごとの管理事務の報告

あおい先生
あおい先生
もう1つが、管理事務の報告です。事業年度、つまり会計の1年が終わったら、遅滞なく、管理事務報告書をつくります。管理業務主任者が、報告書を管理者に渡して説明します。
あおい先生
あおい先生
管理者がいないときなどは、説明会を開いて、区分所有者に説明します。日時と場所は、1週間前までに掲示します。

事業年度ごとの報告。1 事業年度が終わったら遅滞なく、2 管理事務報告書をつくる、3 主任者が管理者に交付して説明、4 管理者なしなら説明会(1週間前に掲示)

管理者がいないときは、説明会で報告

くらべる点 毎月の会計の書面(規則87条5項) 管理事務の報告(法77条・規則88条・89条)
いつ 毎月。その月の分を翌月末日まで 事業年度の終了後、遅滞なく
中身 その月の会計の収入と支出の状況 報告の対象期間、会計の収入と支出の状況、管理受託契約の内容に関する事項
管理者等がいるとき 管理者等に交付 管理業務主任者が管理者等に交付して説明
管理者等がいない・業者が管理者等のとき 交付に代えて事務所ごとに備え置き、区分所有者等の求めで業務時間内に閲覧(事業年度の終了日から2か月を経過する日まで) 説明会を開き、管理業務主任者が区分所有者等に交付して説明。日時・場所は1週間前までに掲示、管理組合ごとに開催
管理業務主任者 関与の定めなし(記名も報告も不要) 説明するのは主任者。説明のときは主任者証を提示(請求がなくても)
記名 なし なし(重要事項・成立時の書面とちがう)

※同施行規則87条5項・88条・89条、マンション管理適正化法77条をもとに整理。マン管 令和5 問49 エ(毎月の書面に主任者の記名=誤り)・管業 令和7 問48 ウ(毎月の書面を主任者に報告させる=誤り)・マン管 令和6 問50 ウ(管理事務の報告を毎月=誤り)・マン管 令和5 問49 イ(管理者なしなら書面交付で足りる=誤り)・管業 令和6 問48 ウ・令和7 問49 a(適切)。

 

試験に出る|ひっかけと過去問

この章の答え「翌月末日」「保証契約がいるのはイ・ロだけ」「収納口座の名義は自由」「保管口座の印鑑は承認があっても持てない」「毎月の書面に主任者はかかわらない」「管理事務の報告は事業年度ごと」がよく問われます。

よく出るひっかけ

ひっかけ 正しくは
収納・保管口座で管理するときも、1か月分以上の保証契約が必要 いらない(管業 令和4 問49 a・令和3 問49 イ)
収納口座の印鑑を保管していても、管理組合の承諾があれば保証契約はいらない 印鑑を保管していれば保証契約が必要(管業 令和2 問48 ア)
収納口座は、管理組合を名義人とする必要がある 収納口座の名義に定めはない(管業 令和6 問49 b)
保管口座は、一時的に管理する口座で、管理業者名義でもよい 一時的なのは収納口座。保管口座は管理組合等名義(マン管 令和3 問49 エ)
管理者等の承認があれば、保管口座の印鑑を管理できる 承認があってもできない(管業 令和5 問49 ア)
管理組合の承認を得れば、残りを収納口座に置いたままでよい 翌月末日までに保管口座へ移す(管業 令和5 問49 イ)
毎月の書面は、当月末日に管理者等に交付する 翌月末日まで(マン管 令和3 問49 ウ)
毎月の書面は、管理業務主任者に記名・報告させる 主任者の記名も報告もいらない(マン管 令和5 問49 エ・管業 令和7 問48 ウ)
管理者等がいないときは、毎月の書面を区分所有者等に交付する 事務所に備え置き・閲覧(管業 令和2 問48 イ)
管理事務の報告は、毎月、管理者等に行う 事業年度の終了後(マン管 令和6 問50 ウ)
管理者等がいないときは、管理事務報告書を交付すれば足りる 説明会で主任者が説明(マン管 令和5 問49 イ)

過去問の出題

令和3〜7年度で、財産の分別管理が主題の問題は、管業で4問、マン管で1問です。管業はほぼ毎年、問49に出ています。毎月の書面や管理事務の報告は、ほかの問題の肢としてもくり返し出ています。

年度・問 出たポイント
管業 令和6 問49 イの方法(印鑑・収納口座の名義・委託先の徴収と保証契約・翌月末日)
管業 令和5 問49 違反するもの(保管口座の印鑑・残りを収納口座に置く・ハ方式と保証契約)
管業 令和4 問49 分別管理(ハ方式と保証契約・印鑑の例外・管理者なしの備え置き)
管業 令和3 問49 分別管理(76条・ハ方式と保証契約・印鑑の例外・保管口座の定義)
マン管 令和3 問49 分別管理と毎月の書面(対象の財産・印鑑・当月末日・保管口座の定義)

※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの(令和3〜7年度)。令和2年度も管業 問48が主題。肢として:管業 令和6 問48 ウ・令和7 問48 ウ・令和7 問49 a、マン管 令和5 問49 イ・エ・令和6 問50 ウ・令和7 問50 b。

 

まとめ|分けて管理し、毎月と年度末に報告

まとめ
  1. 修繕積立金等は、管理会社のお金・ほかの管理組合のお金と分けて管理
  2. 収納口座からは、費用を払った残りを翌月末日までに保管口座へ。保管口座・収納・保管口座は管理組合等の名義
  3. 収納口座を通すなら1か月分以上の保証契約。収納・保管口座だけなら不要
  4. 保管口座の印鑑・カードは原則として持てない(管理者が決まるまでの短い期間などは例外)
  5. 毎月の書面は翌月末日までに管理者等へ。事業年度が終わったら管理事務報告書を主任者が説明
「翌月末日」と「収納口座を通すなら保証契約」で、整理できました!
けんた
けんた
あおい先生
あおい先生
数字と「だれに」は入れ替えて出ます。表で確かめながら覚えましょう。次は、管理計画認定と基本方針です。

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出典・参考にした公式資料

※2026年4月1日施行の改正まで反映したマンション管理適正化法・同施行規則にもとづく内容です。


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ごりへい

宅建・賃管・管業・FP2級など複数の資格を取得。学習法や合格体験をもとに、不動産業やキャリア形成に役立つ情報を発信中。実務と資格の両面から「キャリアアップを応援!」をテーマにブログを運営しています。

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