
専有部分と敷地利用権は、規約に別段の定めがない限り分けて処分できません。「保存行為は一人で」「重大な変更は出席者の4分の3」を覚えるのがおすすめ!
この記事は、管理業務主任者(管業)とマンション管理士(マン管)の勉強を始めたばかりの人に向けて、区分所有法の共用部分の管理・変更と敷地のルールを、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、写真と図を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|共用部分の管理・変更と敷地(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、保存行為と管理、令和8年4月からの重大な変更の決議、3分の2で決められる変更、費用の負担、敷地と分離処分の禁止を確認できます。
▼ 読んで学びたい人は、このまま下へ
写真と図、改正前との比べ方、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
保存行為と管理|一人でできること・集会で決めること
保存行為は、一人でできる
共用部分の管理に関する事項は集会の決議で決めますが、保存行為は各共有者がすることができます(区分所有法18条1項ただし書)。管業 令和6 問27 では、「管理者が選任されている場合、保存行為は管理者を通じて行わなければならない」という肢が不適切とされました。なお、保存行為のやり方は規約で別に定めることもできます(18条2項)。
管理と軽い変更は、普通の決議
| 行為 | 決め方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 保存行為(小さな修理など) | 各共有者が一人でできる(規約で別段の定めも可) | 18条1項ただし書・2項/管業 令和6 問27 ウ(不適切) |
| 管理に関する事項 | 集会の普通の決議(出席者の各過半数) | 18条1項本文・39条1項 |
| 形や効用を大きく変えない変更 | 管理と同じく普通の決議 | 17条1項かっこ書・18条1項 |
| 共用部分の損害保険契約 | 管理に関する事項とみなす | 18条6項/管業 令和6 問27 エ(適切) |
※区分所有法17条・18条・39条と、管業 令和6 問27・マン管 令和6 問6(普通の決議で決められるもの=軽い変更と管理)の公式の正答をもとに整理。
重大な変更|令和8年改正と3分の2の変更
重大な変更は、出席者の4分の3

改正前は「全体」、改正後は「出席者」で数える(100人・1人1戸・議決権は同じとした例)
| 項目 | 改正前(〜令和8年3月) | 改正後(令和8年4月〜) |
|---|---|---|
| 出席の条件(定足数) | なし(全体で数える) | 区分所有者と議決権の各過半数が出席 |
| 決議 | 区分所有者と議決権の各4分の3以上(全体) | 出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上 |
| 規約で変えられること | 区分所有者の定数だけ、過半数まで減らせる | 4分の3を、2分の1を超える割合まで下げられる(出席の条件は上げられる) |
| 欠陥の除去・バリアフリーの変更 | 特別なルールなし | 3分の2で決められる(17条5項・新設) |
※区分所有法17条1項・5項(令和8年4月1日施行)と、改正前の17条1項(e-Gov法令検索の令和5年4月1日施行版)を並べて整理。マン管 令和5 問3・管業 令和3 問33 は改正前の規定で出題された問題で、令和8年度試験では答えが変わります。
3分の2で決められる変更と、特別の影響

入口のスロープ。バリアフリーのための変更は3分の2で決められる(写真はイメージ)
共用部分の設置・保存の瑕疵(欠陥)で他人の権利が侵害される(おそれがある)ときの瑕疵の除去に必要な変更と、高齢者・障害者等の移動などの負担を軽くするための変更は、4分の3が3分の2に読み替えられます(区分所有法17条5項)。また、変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分の所有者の承諾が必要です(17条2項。管理の場合も18条3項で同じ)。
費用の負担と敷地|持分に応じて・分離処分の禁止
費用と利益は、持分に応じて
各共有者は、規約に別段の定めがない限り、持分に応じて共用部分の負担をし、共用部分から生じる利益を受け取ります(区分所有法19条)。共用部分を第三者に賃貸することが管理に関する事項にあたる点は判例にもとづく内容で、マン管 令和5 問5 a で「正しい」とされました。
敷地も同じルール、分離処分の禁止

マンションの敷地。区分所有者の共有なら、共用部分と同じルールで管理する(写真はイメージ)
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 敷地・附属施設の管理 | 区分所有者の共有なら、共用部分の17〜19条を準用 | 21条 |
| 分離処分の禁止 | 敷地利用権を数人で持つときは、専有部分と敷地利用権を分けて処分できない(規約で別段の定めは可) | 22条1項/マン管 令和3 問5 a(正しい) |
| 借地(賃借権)でも | 敷地利用権が賃借権の準共有でも、分離処分の禁止は適用される | 22条1項「所有権その他の権利」/マン管 令和4 問2 ア(誤り) |
| 違反した処分 | 分離処分できない旨の登記の前なら、善意の相手方に無効を主張できない | 23条/マン管 令和3 問5 c(正しい) |
| 分譲前の規約 | 最初に専有部分の全部を持つ者は、公正証書で分離処分を認める規約を作れる | 32条/マン管 令和3 問5 d(正しい) |
※区分所有法21条〜23条・32条と、公式の正答をもとに整理。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 管理者がいるときは、保存行為は管理者を通じて行う | 各共有者が一人でできる(管業 令和6 問27 ウ) |
| 損害保険契約をするのは、共用部分の変更にあたる | 管理に関する事項とみなす(18条6項・管業 令和6 問27 エ) |
| 重大な変更は、区分所有者全体の各4分の3以上 | 令和8年4月からは出席者の各4分の3以上(各過半数の出席が条件) |
| 規約で減らせるのは、区分所有者の定数だけ | 改正後は、4分の3そのものを2分の1を超える割合まで下げられる |
| 共用部分を第三者に貸すのは、共用部分の変更 | 判例では管理に関する事項(マン管 令和5 問5 a) |
| 借地上のマンションには、分離処分の禁止は適用されない | 賃借権でも適用される(マン管 令和4 問2 ア) |
| 分離処分の禁止に違反した処分は、だれに対しても無効 | 登記の前なら、善意の相手方に無効を主張できない(マン管 令和3 問5 c) |
過去問の出題
令和3〜7年度の過去問で、共用部分の管理・変更・負担と、敷地・分離処分の禁止が主題の問題は、マン管で6問、管業で2問です。重大な変更の決議を問う問題は、令和8年4月の改正で答えが変わるものがあるので、解くときは今の規定で考えましょう。
| 試験 | 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|---|
| マン管 | 令和6 問6 | 普通の決議で決められるもの(軽い変更・管理) |
| マン管 | 令和6 問3 | 敷地利用権が賃借権の準共有のとき |
| マン管 | 令和5 問5 | 共用部分の賃貸は管理に関する事項・不当利得(判例) |
| マン管 | 令和5 問3 | 共用部分等の管理・変更・負担(※改正前の規定で出題・令和8年度試験では答えが変わる) |
| マン管 | 令和4 問2 | 敷地・借地でも分離処分の禁止 |
| マン管 | 令和3 問5 | 分離処分の禁止・登記・公正証書の規約 |
| 管業 | 令和4 問35 | 借地上のマンションと敷地利用権 |
| 管業 | 令和3 問33 | 共用部分の変更と規約の変更の決議(※改正前の規定で出題・令和8年度試験では答えが変わる) |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの(令和3〜7年度、マン管・管業とも各年50問)。保存行為・損害保険を問う管業 令和6 問27 は「専有部分と共用部分」の記事で数えています。
まとめ|保存行為は一人で、重大な変更は出席者の4分の3
- 保存行為は各共有者が一人でできる(管理者を通す必要はない)
- 管理と、形や効用を大きく変えない変更は、普通の決議。損害保険契約は管理に関する事項とみなす
- 重大な変更は、令和8年4月から、各過半数が出席して出席者の各4分の3以上(改正前は全体の4分の3)。規約で2分の1を超える割合まで下げられる
- 欠陥の除去・バリアフリーのための変更は3分の2。特別の影響を受ける部屋の所有者の承諾がいる
- 費用と利益は持分に応じて。専有部分と敷地利用権は、規約に別段の定めがない限り分けて処分できない
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索):17条〜19条・21条〜23条・32条・39条(令和8年4月1日施行)、改正前の17条1項
- マンション管理士試験・管理業務主任者試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
※令和8年度試験の基準日(令和8年4月1日)時点の規定です。※写真はイメージです(生成AIで作成)。
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