
「借りている人に使用の禁止はできない」「弁明の機会は借りている人に」を覚えるのがおすすめ!
この記事は、管理業務主任者(管業)とマンション管理士(マン管)の勉強を始めたばかりの人に向けて、区分所有法の義務違反者への措置を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、写真と図を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|義務違反者への措置(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、共同の利益に反する行為と4つの請求、行為の停止、使用の禁止と競売(令和8年4月からの決議)、借りている人への引渡し請求を確認できます。
▼ 読んで学びたい人は、このまま下へ
図と表、改正前との比べ方、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
共同の利益に反する行為と4つの請求
してはいけない行為

共用部分を壊すなど、共同の利益に反する行為は禁止(写真はイメージ)
区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他の、建物の管理・使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならず、この規定は占有者(借りて住んでいる人など)にも準用されます(区分所有法6条1項・3項)。

軽い順に、行為の停止→使用の禁止→競売。借りている人には引渡し
行為の停止・使用の禁止・競売|決議と弁明の機会
行為の停止の請求
使用の禁止と競売
| 請求 | できるとき | 決め方 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 行為の停止・結果の除去・予防 | 共同の利益に反する行為をした・するおそれがある | 裁判の外ならいつでも。訴えは集会の決議(出席者の各過半数) | 57条1項・2項 |
| 使用の禁止(相当の期間) | 共同生活上の障害が著しく、停止の請求では困難 | 訴えで。各過半数が出席し出席者の各4分の3以上+弁明の機会 | 58条/マン管 令和6 問9 a(誤り) |
| 競売(区分所有権+敷地利用権) | 障害が著しく、ほかの方法では困難 | 使用の禁止と同じ。判決確定から6か月で申立て不可。本人・本人の計算で買う人は買受け不可 | 59条/マン管 令和6 問8 イ(正しい) |
| 訴えを起こす人 | 管理者・集会で指定された区分所有者が、集会の決議で全員のために | — | 57条3項・58条4項/マン管 令和5 問8 a |
※区分所有法57条〜59条(令和8年4月1日施行)と、公式の正答をもとに整理。改正前の58条2項(59条・60条で準用)は「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」で、集会に来なかった人も含めた全体で数えていました。
借りている人への引渡し請求
契約の解除と引渡し
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 請求する人 | 区分所有者の全員(貸している区分所有者も含む)または管理組合法人 | 60条1項/マン管 令和4 問9 エ(誤り) |
| 請求の中身 | 占有者が使う契約の解除と、専有部分の引渡し(使用の禁止は請求できない) | 60条1項/マン管 令和6 問9 c(正しい) |
| 決議 | 使用の禁止と同じ(各過半数が出席し、出席者の各4分の3以上) | 60条2項・58条2項 |
| 弁明の機会 | 借りている人(占有者)に与えればよく、貸している区分所有者に与える必要はない | 判例(最判昭和62年7月17日) |
| 引渡しを受けた人 | 遅滞なく、占有する権原のある人(貸している区分所有者など)に引き渡す | 60条3項 |
※区分所有法60条と判例、公式の正答をもとに整理。弁明の機会の相手は条文ではなく判例にもとづく内容です。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 借りて住んでいる人に、使用の禁止を請求できる | できない。契約の解除と引渡しを求める(マン管 令和6 問9 c) |
| 使用の禁止は、停止の請求に任意に従わない場合にはじめて認められる | 停止の請求では障害の除去が困難なとき(マン管 令和6 問9 a) |
| 使用の禁止の決議は、各3分の2以上でよい | 4分の3以上(令和8年4月からは出席者で数える。マン管 令和4 問9 イ) |
| 引渡し請求は、貸している区分所有者以外の全員が請求する | 区分所有者の全員(貸している人も含む)(マン管 令和4 問9 エ) |
| 競売の決議の前に、弁明の機会は不要 | 弁明の機会が必要(マン管 令和6 問8 イ) |
| 弁明の機会は、貸している区分所有者にも与えなければならない | 判例では借りている人に与えればよい |
過去問の出題
令和3〜7年度の過去問で、義務違反者への措置が主題の問題はマン管で2問です。ほかに、管理費の滞納・ゴミのため込み・共用設備の破損などの問題の肢として、マン管で3問、管業で1問に出ています。
| 試験 | 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|---|
| マン管 | 令和6 問9 | 使用の禁止の請求(要件・賃貸・占有者・強制執行) |
| マン管 | 令和4 問9 | 停止・使用禁止・競売・引渡しの決議と請求する人 |
| マン管 | 令和6 問8 | 管理費の滞納と競売の請求(弁明の機会) |
| マン管 | 令和5 問8 | ゴミのため込みと訴え(集会の決議) |
| マン管 | 令和6 問30 | 集会室の共用設備の破損と停止の請求(標準管理規約も) |
| 管業 | 令和5 問37 | 規約違反・義務違反への対応(使用の禁止の弁明の機会) |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの(令和3〜7年度、マン管・管業とも各年50問)。決議の割合を問う肢は、令和8年4月からは出席者で数える点に注意。
まとめ|停止は過半数、使用禁止・競売・引渡しは出席者の4分の3と弁明
- 共同の利益に反する行為は禁止。借りて住んでいる人(占有者)も同じ
- 行為の停止・除去・予防の訴えは、集会の普通の決議(出席者の各過半数)
- 使用の禁止・競売は、各過半数が出席して出席者の各4分の3以上+弁明の機会(改正前は全体の4分の3)
- 競売は判決確定から6か月以内に申立て。本人・本人の計算で買う人は買い受けられない
- 借りている人には契約の解除と引渡し(使用の禁止は不可)。弁明の機会は借りている人に(判例)
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索):6条・57条〜60条(令和8年4月1日施行)、改正前の58条2項
- 最高裁判所 昭和62年7月17日判決(占有者に対する引渡し請求の弁明の機会)
- マンション管理士試験・管理業務主任者試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
※令和8年度試験の基準日(令和8年4月1日)時点の規定です。※写真はイメージです(生成AIで作成)。
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