
「4つの業務、事務管理は一部だけ、管理事務室は無償」と覚えるのがおすすめ!
この記事は、管理業務主任者(管業)の勉強を始めたばかりの人に向けて、標準管理委託契約書の業務の範囲と再委託を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、図を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約5分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|標準管理委託契約書の業務の範囲と再委託(約5分)
あおい先生とけんたさんの会話で、管理事務の4つ、基幹事務、管理員業務の立会い、再委託の範囲、委託業務費と管理事務室を確認できます。
▼ 読んで学びたい人は、このまま下へ
別の契約にする業務の区別、見積もりの手伝いの範囲、費用を負担する人の違い、過去問のひっかけまで、記事でくわしく解説しています。
管理事務は4つ|警備と防火管理は入らない
標準管理委託契約書とは
管理事務の4つと、入らない業務

管理事務は4つ。警備と防火管理は別の契約
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 契約書の位置づけ | 典型的な住居専用の単棟型マンションの標準的な内容。実際は個々の状況に応じて適宜、追加・修正・削除して活用する(使う義務はない) | コメント全般関係②/令和5 問8 ア(不適切) |
| 管理事務の4つ | ①事務管理業務(別表第1)②管理員業務(別表第2)③清掃業務(別表第3)④建物・設備等管理業務(別表第4) | 第3条 |
| 管理事務に入らない業務 | 警備業法の警備業務、消防法の防火管理者の業務、管理計画の認定や民間の評価制度に関する業務。別個の契約にすることが望ましい | コメント全般関係③/令和4 問7 a(適切)・令和6 問4 c(不適切) |
| 管理の対象 | 原則は敷地と共用部分等。専有部分の設備でも、共用部分と構造上一体の部分(配管・配線など)で管理組合が管理するとされ、依頼があれば契約に含められる | コメント第3条関係③/令和4 問7 b(適切) |
※国土交通省「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」(令和7年12月12日改正)と、公式の正答をもとに整理。
事務管理業務と基幹事務|運営するのは管理組合
基幹事務の3つ

基幹事務は「調定・出納・維持修繕の企画と調整」の3つ
理事会・総会の支援
別の契約にする業務

「別の契約」と「別の契約が望ましい」
ほかの業者に修繕を頼むとき

受理・取次ぎ・確認まで。現場説明と助言は入らない
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 基幹事務 | ①管理組合の会計の収入及び支出の調定 ②出納 ③マンション(専有部分を除く)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整 | 別表第1 1/適正化法2条6号 |
| 理事会支援 | 理事会の運営主体はあくまで管理組合。管理会社は支援する | コメント別表第1関係/令和5 問5 ア(不適切) |
| 議事録 | 管理会社がするのは、管理組合が協力を必要とするときの議事録案の作成 | 別表第1 2/令和4 問6 c(不適切) |
| 長期修繕計画案 | 作成・見直し(劣化診断を含む)は、本契約とは別個の契約とする | 別表第1 1(3)/令和5 問5 ウ・令和4 問6 b(不適切) |
| 大規模修繕の設計・工事監理 | 必要な年度に特別に行われ、業務内容の独立性が高いため、別個の契約にすることが望ましい | コメント別表第1関係/令和6 問8 a(適切) |
| 外注の修繕の手伝い | 大規模修繕を除く修繕や保守点検を外注するとき、見積書の受理・取次ぎ・実施の確認。現場説明と見積内容への助言は含まない | 別表第1 1(3)/令和7 問4 ア・令和5 問8 エ(適切) |
| 滞納状況の報告 | 毎月、組合員の管理費等の滞納状況を管理組合に報告する | 別表第1 1(2)/令和7 問8 c・令和4 問6 a(年に一度は不適切) |
| 点検結果の報告と助言 | 点検・検査の結果を報告し、改善が必要なら具体的な方策を助言する。報告も助言も書面で行う | 別表第1 2/令和7 問8 d(適切) |
※標準管理委託契約書及び同コメント(令和7年12月12日改正)とマンション管理適正化法をもとに整理。令和2年度の過去問(問9 ウ)では「発注補助」と書かれていますが、今の版では「取次ぎ」です。
管理員業務|立会いは、ずっと付き添うことではない
受付・点検・立会い・報告連絡

立会いは「常に」ではない。完了確認は外から見て
| 業務 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 受付等 | 各種使用申込の受理、組合員等の異動届の受理、利害関係人への管理規約等の閲覧、共用部分の鍵の管理と貸出しなど | 別表第2 2(1)/令和4 問8 a(適切) |
| 点検 | 建物・諸設備・諸施設の外観目視点検、照明の点灯と消灯、諸設備の運転と作動状況の点検、無断駐車等の確認 | 別表第2 2(2)/令和4 問8 b・令和7 問8 b(適切) |
| 立会い | 外注業者の業務の着手・実施の立会い、ゴミ搬出時の立会い、災害・事故等の処理の立会い。「実施の立会い」は終業や完了の確認で、常に立ち会うことではない | 別表第2 2(3)・コメント別表第2関係⑨/令和5 問5 イ(不適切) |
| 工事の完了確認 | 設計図書のとおりかを確かめるのではなく、外観目視等で完了を確認する | コメント別表第2関係⑨/令和6 問8 d(不適切) |
| 報告連絡 | 文書の配付や掲示、各種届出・点検結果・立会結果の報告、災害・事故等の連絡と報告 | 別表第2 2(4)/令和4 問8 d(適切) |
※標準管理委託契約書及び同コメント(令和7年12月12日改正)をもとに整理。立会業務に、専有部分の鍵の保管は入っていません(令和4 問8 c は不適切)。
再委託|事務管理業務は一部だけ、責任は管理会社
任せられる範囲

全部を任せられないのは、事務管理業務だけ
なぜ事務管理業務だけ一部なのか
任せたときの責任
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事務管理業務 | 一部を再委託できる(全部はできない) | 第4条1項/令和3 問6 a(不適切) |
| ほかの3つ | 管理員業務・清掃業務・建物・設備等管理業務は、全部でも一部でも再委託できる | 第4条1項/令和2 問8 a(不適切) |
| なぜ | 適正化法74条の基幹事務の一括再委託の禁止を踏まえ、事務管理業務の一括再委託ができないようにした | コメント第4条関係①/適正化法74条 |
| 責任 | 再委託した管理事務の適正な処理について、管理会社が管理組合に責任を負う | 第4条2項/令和6 問4 a(不適切)・令和2 問8 b(適切) |
| 再委託先の通知 | 契約締結時に名称が明らかな場合や、締結後に明らかになったときは、管理組合に通知することが望ましい | コメント第4条関係③/令和2 問8 c・令和7 問5 ア(適切) |
| 再委託の範囲 | 再委託された者がさらに委託する場合も「再委託」に含む | 第4条1項 |
※標準管理委託契約書及び同コメント(令和7年12月12日改正)と公式の正答をもとに整理。
費用・管理事務室・指示|管理事務室は無償
委託業務費と諸費用

定額か、精算か。諸費用は管理組合
管理事務室は無償

場所は無償。使うときの費用は契約で決める
指示はだれから、だれへ

指示は、決められた人から決められた担当者へ
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 定額委託業務費 | 負担方法が定額で精算を要しない費用。毎月支払う | 第6条2項・コメント第6条関係③ |
| 定額以外の費用 | 実施内容で価額が変わるので、各業務の終了後に精算する。例=業務の一部が専有部分で行われる排水管の清掃、消防用設備等の保守点検 | 第6条3項・コメント第6条関係③④ |
| 諸費用 | 管理会社が管理事務を実施するのに伴って必要な水道光熱費・通信費・消耗品費等は管理組合が負担 | 第6条4項/令和5 問8 イ(不適切) |
| 管理事務室等 | 管理事務に不可欠な管理事務室・管理用倉庫・清掃員控室・器具・備品等は無償で使用させる | 第7条1項・コメント第7条関係①/令和6 問4 b・令和4 問7 c(不適切)・令和3 問6 b(適切) |
| 管理事務室等の使用の費用 | 水道光熱費・通信費・備品・消耗品費等は、管理組合か管理会社かを契約で定める | 第7条2項・コメント第7条関係②/令和7 問4 イ(管理組合が負担しなければならない=不適切) |
| 指示 | 法令に基づく場合を除き、管理者等または指定した役員から、管理会社が指定した使用人等へ。カスタマーハラスメントの未然防止のため | 第8条・コメント第8条関係①/令和6 問7 ア(適切) |
※標準管理委託契約書及び同コメント(令和7年12月12日改正)と公式の正答をもとに整理。第6条4項と第7条2項は、対象の費用がちがいます。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 特別な事情がない限り、標準管理委託契約書を使わなければならない | 状況に応じて追加・修正・削除して活用する(令和5 問8 ア) |
| 警備業法の警備業務も管理事務に入る | 入らない(令和6 問4 c) |
| 理事会支援は、管理会社が運営主体となって行う | 運営主体は管理組合(令和5 問5 ア) |
| 管理会社は、自己の名で総会議事録を作成し交付する | するのは議事録案の作成(令和4 問6 c) |
| 長期修繕計画案の作成は、管理委託契約に含める | 別個の契約にする(令和5 問5 ウ・令和4 問6 b) |
| 滞納状況の報告は年に一度 | 毎月(令和7 問8 c・令和4 問6 a) |
| 立会いは、業者の作業中に常に立ち会うこと | 常にではない(令和5 問5 イ) |
| 工事の完了確認は、設計図書のとおりかを確かめる | 外観目視等で確認する(令和6 問8 d) |
| 事務管理業務の全部を再委託できる | 一部だけ(令和3 問6 a) |
| 建物・設備等管理業務の全部は再委託できない | 全部でもできる(令和2 問8 a) |
| 再委託した管理事務について、管理会社は責任を負わない | 責任を負う(令和6 問4 a) |
| 管理事務に伴う水道光熱費などは、管理会社が負担する | 管理組合が負担(令和5 問8 イ) |
| 管理事務室は有償で使わせる | 無償(令和6 問4 b・令和4 問7 c) |
| 管理事務室の水道光熱費は、管理組合が負担しなければならない | 契約で定める(令和7 問4 イ) |
過去問の出題
令和2〜7年度の管業で、標準管理委託契約書が主題の問題は24問あり、毎年4問ほど出ています。そのうち、この記事の範囲(業務の範囲・再委託・費用など)は12問です。残りの12問は、緊急時・報告・免責・解約などの範囲です。
| 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|
| 令和2 問8 | 再委託の範囲・責任・再委託先の通知 |
| 令和2 問9 | 維持修繕の企画・実施の調整(長期修繕計画・見積書の受理) |
| 令和3 問6 | 事務管理業務の再委託・管理事務室は無償 |
| 令和4 問6 | 別表第1(滞納状況・長期修繕計画案・議事録・助言) |
| 令和4 問7 | 警備業務・専有部分の設備・管理事務室 |
| 令和4 問8 | 別表第2(受付・点検・立会い・報告連絡) |
| 令和5 問5 | 理事会支援の運営主体・立会い・長期修繕計画案 |
| 令和5 問8 | 使う義務・諸費用・見積書の受理 |
| 令和6 問4 | 再委託の責任・管理事務室・警備業務 |
| 令和6 問8 | 大規模修繕の設計・水道料・工事の完了確認 |
| 令和7 問4 | 見積書の受理と現場説明・管理事務室の水道光熱費 |
| 令和7 問8 | 点検業務・滞納状況の報告・書面での助言 |
※問題文と公式の正答から1問ずつ確かめたもの(令和2〜7年度)。肢として:令和6 問7 ア(指示)・令和7 問5 ア(再委託先の通知)。
まとめ|4つの業務、事務管理は一部だけ、管理事務室は無償
- 標準管理委託契約書は住居専用・単棟型のひな形で、足したり削ったりして使う
- 管理事務は事務管理・管理員・清掃・建物・設備等管理の4つ。警備と防火管理は入らない
- 基幹事務は調定・出納・維持修繕の企画と調整。長期修繕計画案は別の契約
- 立会いは常にではない。工事の完了は外から見て確かめる
- 再委託は事務管理業務だけ一部まで。責任は管理会社
- 諸費用は管理組合。管理事務室は無償で、使うときの費用は契約で決める
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 国土交通省 マンション標準管理委託契約書及び同コメント(令和7年12月12日改正):第1条〜第8条・別表第1〜第4とコメント
- 国土交通省 マンション標準管理委託契約書等の策定・改正について
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律(e-Gov法令検索):2条6号・74条
- 管理業務主任者試験 令和2〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
※令和7年12月12日改正の標準管理委託契約書にもとづく内容です。この記事の表の内容は、令和5年9月の版でも同じです(管理業者管理者方式の説明を除く)。
こちらもCHECK
-
-
管理業務主任者の通信講座・予備校おすすめ4選|料金・合格率を比較【2026年版】
続きを見る
