
「管理費はふだん、修繕積立金は特別」「余りは翌年度の管理費」を覚えるのがおすすめ!
この記事は、マンション管理士(マン管)と管理業務主任者(管業)の勉強を始めたばかりの人に向けて、標準管理規約の管理費・修繕積立金と区分経理を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、図を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|管理費・修繕積立金と区分経理(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、管理費等の負担の決め方、管理費と修繕積立金の使い道のちがい、区分経理、管理費が余ったとき・足りないとき、使用料の扱いを確認できます。
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使い道の一覧表、どっちから払うかの早見表、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
管理費等の負担|共用部分の持分で決める
管理費等と、負担の決め方
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 管理費等 | 管理費と修繕積立金。区分所有者が管理組合に納める | 25条1項 |
| 負担の割合 | 各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出する | 25条2項 |
| 使う回数 | 負担割合を決めるときに、使用頻度などは考えない(1階の人もエレベーターの費用を負担) | コメント25条関係① |
| 議決権との関係 | 議決権を一戸一議決権などにしても、管理費等の負担は共用部分の持分で決めることが考えられる | コメント25条関係③ |
| 部屋を買った人 | 管理組合は、管理費等の債権を特定承継人(買った人など)にも行使できる。相続した人(包括承継人)は当然に引き継ぐ | 26条・コメント26条関係 |
※マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント(令和7年改正)25条・26条と、公式の正答をもとに整理。
使い道|管理費はふだん、修繕積立金は特別の管理
管理費の使い道

管理費は、ふだんの管理に使う
修繕積立金の使い道

修繕積立金は、特別の管理に限って取り崩せる
| 管理費(27条) | 修繕積立金(28条) | |
|---|---|---|
| どんな管理 | 通常の管理(ふだんの管理) | 特別の管理に限って取り崩せる |
| 主な使い道 | 管理員人件費/公租公課/共用設備の保守維持費・運転費/事務費/火災保険料・地震保険料などの損害保険料/経常的な補修費/清掃・消毒・ごみ処理費/委託業務費/専門家の活用/管理組合の運営 | 一定年数ごとの計画修繕/不測の事故などによる修繕/敷地・共用部分等の改良・変更/マンション再生等の合意形成の調査/修繕積立金の管理・運用/全体の利益のため特別に必要な管理 |
| ほかに | 役員活動費は管理組合の運営費にふくまれる(コメント27条関係①) | 工事の計画立案・調査・設計など準備段階の費用もふくむ(コメント28条関係③)。特別の管理のための借入れの償還にも充てられる(28条3項) |
| 使えないもの | 一部の人のサークル・親睦の飲食。自治会費は管理費等とは別のもの(コメント27条関係③) | 上の6つ以外(たとえばWEB会議用のパソコンの購入費) |
※マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント27条・28条と、公式の正答をもとに整理。
| この費用は | どっちから払う? | 根拠 |
|---|---|---|
| 共用部分の火災保険料 | 管理費 | 27条5号/管業 令和4 問30 c |
| エレベーターの点検(保守維持費) | 管理費 | 27条3号 |
| 階段のすべり止めの少しの補修 | 管理費(経常的な補修費) | 27条6号/管業 令和4 問30 b |
| 何年かごとの外壁・屋上の計画修繕 | 修繕積立金 | 28条1項1号 |
| 計画修繕の前提として専門家に建物診断を頼む費用 | 修繕積立金(準備段階の費用) | コメント28条関係③/管業 令和5 問27 イ |
| 建替えなどの合意形成に必要な調査 | 修繕積立金 | 28条1項4号/管業 令和4 問30 a(最も適切) |
| WEB会議で理事会を開くためのパソコンの購入 | 修繕積立金からは取り崩せない | マン管 令和4 問27 c(適切でない) |
※標準管理規約27条・28条と、公式の正答をもとに整理。
令和7年改正で、28条1項4号の調査の対象は「建物の建替え及びマンション敷地売却」から、建替え・建物の更新・建物敷地売却・建物取壊し敷地売却・取壊し(マンション再生等)に広がりました。
区分経理と過不足|管理費の余りは翌年度の管理費へ
区分経理

管理費と修繕積立金は、分けて経理する
余ったとき・足りないとき

管理費の余りは、翌年度の管理費に回す
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 区分経理 | 修繕積立金は、管理費とは区分して経理しなければならない | 28条4項/管業 令和6 問30 ウ(適切) |
| 修繕積立基金・一時負担金 | 分譲時に集める修繕積立基金や、修繕時の一時負担金も、修繕積立金として積み立てて区分経理する | コメント28条関係② |
| 管理費の余り | 収支決算で管理費に余りが出たら、翌年度の管理費に充てる(修繕積立金に移すのではない) | 61条1項/管業 令和4 問13 c、令和6 問30 イ(不適切) |
| 足りないとき | 管理組合は、管理費等の負担割合(共用部分の持分)で、その都度必要な金額の負担を求められる | 61条2項 |
| 使用料 | 駐車場使用料その他の使用料は、その管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる | 29条/管業 令和4 問13 b |
| 返還・分割の請求 | 納めた管理費等と使用料は、返還請求も分割請求もできない | 60条7項 |
| 遅延損害金など | 滞納者に請求した遅延損害金・弁護士費用・督促などの費用に当たる収納金は、管理費に充てる | 60条6項 |
※マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント28条・29条・60条・61条と、公式の正答をもとに整理。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 共用部分の火災保険料は、修繕積立金から払う | 管理費から払う(管業 令和4 問30 c) |
| 管理費に余りが出たら、修繕積立金に回す | 翌年度の管理費に回す(管業 令和6 問30 イ) |
| 駐車場使用料は、管理費に充てる | 管理に充てたほかは修繕積立金に積み立てる |
| エレベーターをよく使う上の階の人ほど、管理費を多く負担する | 負担は共用部分の持分で決め、使う回数は考えない |
| 自治会費を管理費といっしょに集めて使ってよい | 自治会費は管理費等とは別のもの |
| WEB会議用のパソコンの購入費を、修繕積立金から取り崩せる | 特別の管理ではないので取り崩せない(マン管 令和4 問27 c) |
| 分譲時に集めた修繕積立基金は、管理費と一緒に経理してよい | 修繕積立金として区分経理する |
過去問の出題
令和3〜7年度の過去問で、管理費・修繕積立金の使い道と区分経理が主題の問題は、管業で5問、マン管で2問です。とくに「修繕積立金を取り崩せるのはどれか」の形がくり返し出ています。
| 試験 | 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|---|
| 管業 | 令和6 問29 | 管理費を充当できる経費と、修繕積立金を取り崩せる経費の組み合わせ |
| 管業 | 令和6 問30 | 借入れの償還・管理費の余り・区分経理・駐車場使用料 |
| 管業 | 令和5 問27 | 修繕積立金を充当できる費用(建物診断・改良・専有部分の配管) |
| 管業 | 令和4 問13 | 会計(予算承認前の支出・駐車場使用料・管理費の余り) |
| 管業 | 令和4 問30 | 修繕積立金を取り崩せるもの(調査・補修・火災保険料・パソコン) |
| マン管 | 令和6 問28 | 建替え・敷地売却の合意形成や計画の費用の扱い |
| マン管 | 令和4 問27 | 修繕積立金を取り崩せる経費 |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの(令和3〜7年度、マン管・管業とも各年50問)。令和7年改正で、建替えなどの調査の範囲や言葉(マンション再生等)が変わった肢があるので注意。
まとめ|管理費はふだん、修繕積立金は特別、余りは翌年度の管理費
- 管理費と修繕積立金=管理費等。負担は共用部分の持分で決め、使う回数は考えない
- 部屋を買った人(特定承継人)にも、前の持ち主の滞納分を請求できる
- 管理費はふだんの管理(点検・清掃・委託費・火災保険料など)。サークル・親睦の飲食や自治会費には使わない
- 修繕積立金は特別の管理に限る(計画修繕・不測の事故・改良や変更・再生等の調査など)
- 2つは区分経理。管理費の余りは翌年度の管理費、使用料は管理に充てたほか修繕積立金へ
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- マンション標準管理規約(国土交通省):令和7年改正 単棟型・同コメント 25条〜29条・60条・61条
- マンション管理士試験・管理業務主任者試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
※令和7年10月改正の標準管理規約(単棟型)にもとづく内容です。
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