
📚 FP攻略ノート|財産評価・事業承継
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こんにちは、ごりへいです。この「財産評価・事業承継」は、相続分野の中でも一番細かくてマニアックに感じるパートかもしれません。宅地の評価方式、取引相場のない株式(自社株)の評価、会社法のルール——正直、深追いすると沼です。
でも安心してください。FP2級で問われるのは基本の枠組みと定番のひっかけだけ。このノートでは、直近の本試験(2025年1月〜2026年5月)で実際に出た論点を軸に、路線価方式・倍率方式・小規模宅地等の特例・取引相場のない株式評価・会社法の頻出肢を、合格ラインに必要な部分だけに絞って整理しました。
ここは「満点を狙う」より「定番の1問を確実に取る」意識でいきましょう。
1. 宅地の評価方式
相続税・贈与税の宅地評価には、地域に応じて路線価方式と倍率方式の2つがあります。どちらを使うかは国税庁が地域ごとに定めています。
| 方式 | 対象地域 | 計算 |
|---|---|---|
| 路線価方式 | 市街地(路線価が定められている地域) | 路線価 × 各種補正率 × 地積 |
| 倍率方式 | 路線価が定められていない地域 | 固定資産税評価額 × 倍率 |
路線価とは
路線価は、道路(路線)に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額を千円単位で表したもの。地価公示価格のおおむね80%が目安です。奥行や間口、角地などに応じて各種補正率で調整します。
⚠️ひっかけ:2025年5月問58で「倍率方式では、固定資産税評価額に倍率を乗じた価額に、さらに形状に応じた補正率を乗じる」が不適切(=正解肢)。倍率方式は補正しません(固定資産税評価額の時点ですでに個別事情が織り込まれているため)。奥行補正などの各種補正は路線価方式だけで行います。「倍率方式=固定資産税評価額×倍率、それだけ」と覚えましょう。
使用貸借の宅地
⚠️ひっかけ:2026年5月問58で「宅地を使用貸借で子に貸し、子が自宅を建てて住んでいる場合、その宅地を貸宅地として評価」が不適切(=正解肢)。無償で貸す使用貸借では借地権が発生しないため、自用地として評価します。「タダ貸し=自用地」と押さえておきましょう。
2. 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
被相続人等の居住用・事業用の宅地について、一定面積まで評価額を大幅に減額できる、実務でも試験でも最重要の特例です。
| 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
2026年5月問59は、この表の空欄そのものが問われました。答えは(ア)特定事業用=400㎡、(イ)特定居住用の減額割合=80%、(ウ)特定同族会社事業用=400㎡。
💡覚え方:「事業系は400㎡80%、居住は330㎡80%、貸付だけ200㎡50%」。減額80%が多数派で、貸付事業用だけ半端(200㎡・50%)と覚えると混乱しません。
特定居住用の取得者要件(超頻出ひっかけ)
誰が取得すると特例が使えるかが繰り返し問われます。
- 配偶者が取得 → 無条件でOK(同居・保有継続要件なし)
- 同居親族が取得 → 申告期限まで居住・保有を継続すればOK
- 別居親族(いわゆる家なき子) → 配偶者・同居法定相続人がいない等の要件を満たせばOK
⚠️ひっかけ①:2025年5月問59で「被相続人と配偶者が同居していた宅地を、同居していなかった子が取得した場合、特例の適用を受けられない」が適切(=正解肢)。配偶者という同居法定相続人がいるため、別居の子(家なき子)は使えません。
⚠️ひっかけ②:2024年5月問59で「相続後に初めて自分の居住用にした子が特例の適用を受けられる」が不適切(=正解肢)。居住用の特例は相続開始の直前に被相続人等が居住していたことが前提。相続後に住み始めても対象になりません。
⚠️ひっかけ③:2025年1月問57で「相続時精算課税で贈与を受けて課税価格に加算される宅地は、本特例の適用を受けられない」が適切(=正解肢)。小規模宅地の特例は「相続または遺贈で取得した宅地」が対象で、生前贈与(精算課税)で取得したものは対象外です。
3. 取引相場のない株式(自社株)の評価
上場していない会社の株式は市場価格がないため、独自の方法で評価します。事業承継対策の要になる論点です。
評価方式は「誰が取得するか」で変わる
| 取得者 | 評価方式(原則) |
|---|---|
| 同族株主等(経営支配側) | 原則的評価方式(類似業種比準方式・純資産価額方式・併用) |
| 同族株主以外(少数株主) | 特例的評価方式(配当還元方式) |
会社規模の判定
会社を大・中・小に分け、規模に応じて評価方式を使い分けます。
💡2025年5月問57で正解肢:従業員数が70人以上の会社は、総資産価額や取引金額にかかわらず大会社となる。まず「70人以上=無条件で大会社」を判定し、70人未満なら総資産・取引金額・業種で判定します。
類似業種比準価額の株価の取り方
2025年1月問56で正解肢となった論点です。類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3カ月間の各月の株価のうち最も低いものを使います。ただし納税者の選択で前年平均株価または課税時期の属する月以前2年間の平均株価を使うこともできます。
💡覚え方:上場株式の評価(4つの価額のうち最も低いもの)と同じく、自社株の類似業種比準でも「低いものを選べる=納税者有利」が基本発想。迷ったら「低い方を取れる」で当たりやすい分野です。
4. 会社法の頻出肢(事業承継まわり)
事業承継の文脈で会社法の細かい肢が出ます。実際に出た正解肢を押さえておきましょう。
自己株式の取得
⚠️ひっかけ:2025年1月問59で「特定の株主との合意で自己株式を有償取得する場合、株主総会の決議は不要」が不適切(=正解肢)。自己株式の有償取得は分配可能額の規制対象で、株主総会の決議が必要です(特定株主からの取得は特別決議)。
株式会社の資本金
⚠️ひっかけ:2026年5月問60で「株式会社の設立には最低資本金1,000万円が必要」が不適切(=正解肢)。現在の会社法に最低資本金の定めはなく、資本金1円でも設立可能です。旧商法の「株式会社1,000万円・有限会社300万円」は撤廃済みなので、古い知識に注意。
まとめ:深追いせず、定番だけ確実に
財産評価・事業承継は、①宅地は路線価方式(補正あり)・倍率方式(補正なし)②小規模宅地は「事業400㎡80%・居住330㎡80%・貸付200㎡50%」と取得者要件③自社株は同族=原則的評価/少数=配当還元、規模判定は従業員70人以上で大会社④会社法は「自己株式取得は総会決議必要」「最低資本金なし」、この4点で試験に出る大半をカバーできます。
細かい計算式まで完璧にする必要はありません。枠組みと定番ひっかけを押さえて、出たら確実に1問取る——それがこの分野の正しい戦い方です。過去問で「見たことある」を増やしていきましょう。