
📚 FP攻略ノート|所得税の仕組み・10種所得
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タックスプランニングの土台になるのが、この「所得税の仕組み」と「10種類の所得」です。FP2級の学科では、タックス分野の冒頭2〜3問が、ほぼ毎回ここから出題されます。しかも問われる論点はかなり固定化されていて、パターンさえ押さえれば得点源に変えられる場所です。
ごりへいです。ここでつまずく受験生の多くは、「10種所得を丸暗記しよう」として挫折しています。でも本試験で問われるのは、暗記そのものではなく「この所得はどの区分になるのか」「総合課税か分離課税か」「損失は他の所得と通算できるのか」という判断です。この記事では、実際の過去問で問われた具体例をベースに、迷いやすいポイントを一つずつ整理していきます。
特に、直近の本試験(2024年5月〜2026年5月)で繰り返し狙われた「配当金の所得区分」「損益通算できる/できない損失」「居住者の課税範囲」「総所得金額の計算」を重点的に扱います。数字と要件を正確に持ち帰ってください。
所得税の基本的な仕組み
納税義務者と課税所得の範囲(居住者・非永住者)
所得税の納税義務者は、大きく「居住者」と「非居住者」に分かれます。ここは本試験で ほぼ毎回問われる超頻出ポイントです。
| 区分 | 定義の目安 | 課税される所得の範囲 |
|---|---|---|
| 非永住者以外の居住者 | 国内に住所があり、または1年以上居所がある人(非永住者を除く) | 国内・国外を問わずすべての所得(全世界所得) |
| 非永住者 | 日本国籍がなく、過去10年内に国内に住所・居所があった期間の合計が5年以下の居住者 | 国内源泉所得+国外源泉所得のうち国内で支払われた・送金されたもの |
| 非居住者 | 居住者以外 | 国内源泉所得のみ |
⚠️ひっかけ
「居住者は、国内で生じた所得についてのみ納税義務が生じ、国外で生じた所得について納税義務が生じることはない」——これは誤り(2024年5月・問31の不適切肢)。
非永住者以外の居住者は、国外で生じた所得も含めて課税されます(2025年1月・問31ではこれが適切肢として出題)。「居住者=日本国内の所得だけ」という思い込みを、そのまま正しい記述だと錯覚させてくるのが定番の罠です。
超過累進税率と申告納税方式
所得税の税額計算では、課税総所得金額が大きくなるにつれて段階的に税率が高くなる 超過累進税率(5%〜45%の7段階)が採用されています(2026年5月・問31の適切肢)。所得全体に一律の高い税率をかけるのではなく、「一定の金額を超えた部分にだけ、より高い税率をかける」仕組みです。
また、所得税は納税者本人が税額を計算して申告・納付する 申告納税方式です。これに対して、相続税や贈与税も申告納税方式ですが、個人住民税や固定資産税は賦課課税方式(役所が税額を計算して通知する)である点と対比して覚えてください。
💡覚え方
申告納税方式=「自分で申告」→ 所得税・法人税・相続税・贈与税・消費税。
賦課課税方式=「お上が決める」→ 個人住民税・固定資産税・不動産取得税・自動車税。
「所・法・相・贈・消は自分で、住民・固定はお上が決める」とリズムで覚えると混同しません。
10種類の所得と課税方法
所得税では、所得の性質に応じて10種類に区分し、それぞれ計算方法が定められています。まず全体像を「総合課税か・分離課税か」で押さえましょう。
| 所得の種類 | 内容の例 | 課税方法 |
|---|---|---|
| 利子所得 | 預貯金・公社債の利子 | 原則 源泉分離課税 |
| 配当所得 | 株式の配当、投資信託の分配金 | 総合課税(申告分離・申告不要も選択可) |
| 不動産所得 | 土地・建物の貸付けによる所得 | 総合課税 |
| 事業所得 | 商業・工業・農業など事業から生じる所得 | 総合課税 |
| 給与所得 | 給料・賞与 | 総合課税 |
| 退職所得 | 退職金・一時恩給 | 分離課税 |
| 山林所得 | 山林の伐採・譲渡(保有5年超) | 分離課税 |
| 譲渡所得 | 資産の売却益 | 総合/分離(資産による) |
| 一時所得 | 満期保険金、懸賞金など | 総合課税(1/2を合算) |
| 雑所得 | 公的年金、副業、上記9種以外 | 総合課税(一部分離) |
迷いやすい所得区分——過去問で問われた具体例
本試験でいちばん狙われるのが「この収入は何所得か」です。実際に出題された例を、正しい区分とセットで押さえましょう。
- 個人事業主が事業資金で買った株式の配当金 → 配当所得。事業のお金で買っても、配当はあくまで配当所得です。「一時所得」(2024年5月・問32)や「事業所得」(2024年9月・問32)とするのはいずれも不適切。
- 不動産の貸付けを事業的規模で行った賃貸収入 → 不動産所得。規模が大きくても「事業所得」にはなりません(2025年1月・問32で不適切肢)。事業的規模(いわゆる5棟10室基準)で変わるのは青色申告特別控除の額などであって、所得区分そのものは不動産所得のままです。
- 会社員が勤務先から無利息で住宅資金を借りたことによる経済的利益 → 給与所得(2025年5月・問32の適切肢)。雇用関係に基づく利益なので給与所得です。
- 専業主婦(事業でない個人)が金地金を売却した所得 → 譲渡所得(2026年5月・問32の適切肢)。生活用資産や投資対象の売却益は譲渡所得です。
⚠️ひっかけ
「事業資金で買った」「事業的規模で貸した」というお金の出どころ・規模で所得区分が変わると錯覚させるのが定番の罠。区分は「収入の性質」で決まります。配当は配当所得、貸付けは不動産所得、と機械的に切り分けてください。
💡覚え方
一時所得の代表例=「懸賞・クイズの賞金」「生命保険の満期保険金・解約返戻金(一時払)」「ふるさと納税の返礼品」。一時所得は(総収入−支出−特別控除50万円)×1/2を総所得に算入します。この「1/2」が総所得金額の計算問題で必ず効いてきます。
損益通算——できる損失・できない損失
タックス分野で最も差がつくのが損益通算です。「損失が出たとき、他の黒字の所得と相殺できるか」を問う問題が、毎回のように出ます。
損益通算できるのは「不・事・山・譲(富士山上=ふじさんじょう)」の4つだけ
損益通算の対象となる損失が生じる所得は、次の4種類に限られます。
損益通算できる所得 = 「富(ふ)・不・事・山」
・不動産所得
・事業所得
・山林所得
・譲渡所得(総合課税の対象となるもの)
逆に言えば、この4つ以外(利子・配当・給与・退職・一時・雑)の損失は、原則として他の所得と通算できません。
「4つの所得」でも通算できない例外に注意
ここが本試験の本丸です。上記4所得から生じた損失でも、通算が制限されるものがあります。
| 損失の内容 | 損益通算の可否 |
|---|---|
| 物品販売業・飲食店経営など事業所得の損失 | ○ できる |
| 不動産所得の損失(下記の利子を除く部分) | ○ できる |
| 不動産所得の損失のうち「土地取得のための借入金利子」に相当する部分 | × できない |
| 業務用車両(事業用の固定資産)を売却した譲渡損失 | ○ できる |
| ゴルフ会員権・別荘など「生活に通常必要でない資産」の譲渡損失 | × できない |
| 株式等の譲渡損失(分離課税)を給与所得など総合課税の所得と通算 | × できない |
過去問での実例を並べると、判断軸がはっきりします。
- 物品販売業(事業所得)の損失を給与所得と通算 → できる(2024年5月・問33の正解肢)。
- コンサルティング事業(事業所得)の損失を不動産所得と通算 → できる(2025年5月・問33の適切肢)。
- 業務用車両を売却した譲渡損失 → できる(2025年1月・問33の正解肢)。事業に使う固定資産の売却損は通算対象です。
- ゴルフ会員権の譲渡損失 → できない(2024年9月・問33)。生活に通常必要でない資産の損失なので、他の所得と通算しません。
⚠️ひっかけ
譲渡所得の損失は「できる/できない」が資産の種類でくっきり分かれます。ゴルフ会員権・別荘・貴金属・書画骨董(生活に通常必要でない資産)の損失は通算できません。一方、事業用の車両・機械の売却損は通算できます。「趣味・ぜいたく品の損は救済しない」とイメージすると忘れません。
【計算演習】総所得金額を求める
損益通算は計算問題でも問われます。実際の出題で手を動かしてみましょう。
例①(2024年9月・問33)
給与所得 600万円/不動産所得 ▲50万円(土地取得の負債利子なし)/譲渡所得 ▲180万円(ゴルフ会員権の譲渡損失)
・不動産所得の損失▲50万円 → 通算できる
・ゴルフ会員権の譲渡損失▲180万円 → 通算できない(切り捨て)
→ 総所得金額=600万円 − 50万円 = 550万円
例②(2026年5月・問33)
不動産所得 60万円/事業所得 ▲100万円(飲食店の損失)/一時所得 100万円(養老保険の満期保険金)
①経常グループ内で通算:不動産60万円 − 事業損失100万円 = ▲40万円
②残った損失40万円を一時所得100万円(1/2する前)から控除 → 60万円
③60万円 × 1/2 = 30万円
💡覚え方
計算問題の手順は必ずこの順番で。①通算できない損失(ゴルフ会員権など)は切り捨てて0扱い ②残る損失は経常グループ内→譲渡所得→一時所得の順に、1/2する前の金額から控除 ③最後に残った総合長期譲渡・一時所得を1/2して合算。
配当控除の基礎
配当所得に関しては、二重課税を調整する 配当控除(税額控除)も頻出です。ポイントは「どの配当が対象外か」。
- 配当控除の適用を受けるには、その配当について 総合課税を選択して確定申告することが前提。申告不要制度や申告分離課税を選ぶと配当控除は使えません。
- ただし、総合課税を選んでも配当控除の対象外になる配当があります。①総合課税でも対象外=J-REIT(不動産投資信託)の分配金・外国株式の配当など ②申告分離課税・申告不要を選択した配当は、その選択により配当控除の対象外。
⚠️ひっかけ
「内国法人から支払を受ける非上場株式の配当は、総合課税を選択しても配当控除を受けられない」——これは誤り(2025年5月・問35の不適切肢)。非上場(内国法人)の配当も、総合課税を選べば配当控除の対象です。むしろ非上場配当は原則総合課税なので、配当控除の王道パターン。「上場じゃないから対象外」という思い込みを突いてきます。
確定申告と青色申告
準確定申告(死亡した場合)
年の途中で亡くなった人の所得税は、相続人が代わりに申告します。これを 準確定申告といい、期限は 相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です(2025年1月・問36の適切肢)。通常の確定申告期限(翌年2/16〜3/15)とは別物なので、「4ヵ月」という数字を確実に押さえてください。
青色申告の承認申請とみなし承認
青色申告を受けるには、原則としてその年の 3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業日から2ヵ月以内)に承認申請書を提出します。
ここで頻出なのが「みなし承認」。前年から業務を行っている者が青色申告の承認申請をしたのに、その年の 12月31日までに承認・却下の処分がなかったときは、その日に承認があったものとみなされます(2026年5月・問36の適切肢)。「税務署が何も言ってこなければ、年末に自動でOKになる」と理解しておきましょう。
💡覚え方
青色申告特別控除の額もセットで。55万円(正規の簿記+貸借対照表等の添付+期限内申告)→ さらに e-Tax申告または優良な電子帳簿保存で65万円 → 要件を満たさない・不動産所得が事業的規模でない場合は 10万円。この「65・55・10」の3段階は本試験の常連です。
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