
長期修繕計画で修繕の費用と時期をはっきりさせ、費用は賃貸経営の中に見込んで積み立て、計画は数年に一度見直します。賃管では直近5年で11問。「だれが・どこへ報告するか」と「費用は見込む」をセットで覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、建物の点検と修繕計画を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、写真を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|点検と修繕計画(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、予防保全と事後保全・建築基準法12条の定期報告・エレベーターの保守契約・長期修繕計画・修繕の履歴を確認できます。
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写真と表、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
建物の手入れ|予防保全と、建築基準法12条の定期報告
予防保全と事後保全

年数がたった屋上の設備機器。故障が起きる前に手を打つのが予防保全(写真はイメージ)
| 考え方・場面 | ポイント |
|---|---|
| 事後保全 | 起きてから直す。経済的にも望ましいとはいえない |
| 予防保全 | 起きないように前もって手を打つ。賃貸住宅ではこちらが大切 |
| 部分的な補修のくり返し | よく調べずにくり返すと、設備全体の修繕の周期がつかみにくい |
| 機器の交換 | 法定耐用年数だけにとらわれず、劣化と収支を見て行う |
※令和6 問7(公式の正答)をもとに整理。問題文の言葉は「事後保全」と「あらかじめ適切な処置を施す」で、「予防保全」は後者の一般的な呼び名です。
建築基準法12条の定期調査・検査と報告

賃貸の共同住宅も、用途や規模によっては12条の定期報告の対象になる(写真はイメージ)
対象は、用途や規模から政令で定める建物と、特定行政庁が指定する建物です(建築基準法12条1項・施行令16条)。共同住宅は、条件によって対象になります。
なお、建物を常に適法な状態に維持するよう努める義務(建築基準法8条)は、管理者にも課されています(令和3 問15)。
調査・検査の時期とエレベーターの保守契約
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 調べる対象 | 敷地・構造・建築設備、防火設備・昇降機など |
| 調べる人 | 一級・二級建築士、資格者証を持つ調査員・検査員 |
| 報告する人 | 所有者。所有者と管理者がちがうときは管理者 |
| 報告する先 | 特定行政庁 |
| 建物の調査の時期 | おおむね6か月〜3年で特定行政庁が決める |
| 設備・昇降機などの検査の時期 | おおむね6か月〜1年で特定行政庁が決める(国が定める項目は1〜3年) |
※建築基準法12条1項・3項、施行令16条、施行規則5条1項・6条1項、令和4 問9・令和3 問15・令和7 問48・平成30 問29(公式の正答)をもとに整理。
エレベーターの保守契約には、部品の取替えや機器の修理まで状況に合わせて行うフルメンテナンス契約と、点検や給油、調整、消耗部品の交換などに限るPOG契約があります(令和7 問48)。

マンションのエレベーターホール。昇降機は、12条の定期検査の対象になる設備の1つ(写真はイメージ)
修繕の計画|日常の点検・長期修繕計画・修繕の履歴
日常の点検と、借主へのお知らせ

清掃が行き届いたマンションの外廊下。日常の点検と清掃の積み重ねが、建物の機能を保つ(写真はイメージ)
年間の清掃計画と定期点検計画を借主に前もって知らせることは、試験では「賃貸住宅管理業者の重要な役割」とされています(令和3 問6)。
長期修繕計画と積立て
長期修繕計画は、10〜30年程度の将来について、いつごろ、何を、いくらくらいかけて修繕するかを示します。賃貸不動産経営管理士が作成したときは、記名するのが望ましいとされています(令和6 問49)。
計画修繕と、住んでいる人への配慮
計画修繕は、入居率や家賃の水準を守ることにつながります。工事中は、騒音や振動で、住んでいる人に迷惑をかけないよう配慮します。

大規模修繕工事中のマンション。足場とメッシュシートで外壁を覆っている(写真はイメージ)
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 長期修繕計画でわかること | 修繕の費用と支払いの時期 |
| 計画の期間 | 10〜30年程度の将来(5〜10年程度ではない) |
| 修繕の費用 | 賃貸経営の中に見込んで積み立てる |
| 計画の見直し | 数年に一度は見直す |
| 計画修繕の効果 | 入居率や家賃の水準の確保につながる |
| 工事中 | 騒音や振動で迷惑をかけないよう配慮する |
※令和3 問17・令和6 問49・令和5 問43・平成30 問39(公式の正答)をもとに整理。
修繕の履歴を残す

建物の図面と、点検の記録をとじたファイル。修繕の履歴は次の修繕を考える材料になる(写真はイメージ)
修繕の履歴は、建物の所有者のものです。退去時の敷金の精算も見すえて、貸したときの状態を客観的なデータで残しておきます(令和3 問14・令和2 問37)。
試験に出る|ひっかけと過去問11問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 経済的な観点からは、事後保全が望ましい | 不適切。あらかじめ適切な処置を施す(令和6 問7) |
| 集合賃貸住宅は12条の対象外。敷地や昇降機も含まれない | どれも誤り。対象になることがあり、敷地も昇降機も含まれる(令和3 問15) |
| 定期調査・検査は、一級建築士にさせなければならない | 二級建築士や資格者証を持つ人もできる(平成30 問29・令和4 問9) |
| 所有者と管理者がちがっても、報告するのは所有者 | 管理者が報告する(令和4 問9) |
| 共同住宅のエレベーターは、3年に1回検査して特定行政庁に提出する | 不適切。時期は特定行政庁が決める(おおむね6か月〜1年が基本)(令和7 問48) |
| 長期修繕計画の費用は不確定なので、賃貸経営の中に見込めない | 見込んで、計画的に積み立てる(令和3 問17・平成30 問39) |
| 長期修繕計画は、5〜10年程度の将来の計画 | 10〜30年程度(令和5 問43・令和6 問49) |
| 履歴情報を使っても、維持保全の費用の無駄は省けない | 省ける(令和3 問14) |
過去問の出題|直近5年で11問
令和3〜7年度の賃管の過去問で、この分野が出たのは11問です。主題の問題が6問、ほかの問題の選択肢として出たものが5問です。
| 年度 | 問 | 出方 | 出たポイント |
|---|---|---|---|
| 令和7 | 問48 | 主題 | エレベーターの保守契約・検査の時期 |
| 令和6 | 問7 | 主題 | 維持保全(事後保全・部分的な補修) |
| 令和6 | 問49 | 選択肢 | 長期修繕計画書(10〜30年程度・記名) |
| 令和5 | 問43 | 選択肢 | 長期修繕計画(5〜10年程度は不適切) |
| 令和4 | 問9 | 主題 | 12条の定期報告(対象・調べる人・報告者・時期) |
| 令和4 | 問44 | 選択肢 | 計画修繕を含む投資判断の重要性 |
| 令和4 | 問7 | 選択肢 | 履歴情報の蓄積と利用 |
| 令和3 | 問6 | 選択肢 | 清掃・定期点検の計画を借主に知らせる |
| 令和3 | 問14 | 主題 | 修繕履歴情報 |
| 令和3 | 問15 | 主題 | 維持保全(8条の努力義務・12条の対象) |
| 令和3 | 問17 | 主題 | 長期修繕計画と計画修繕 |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの。外壁の定期調査や、消防用設備・浄化槽などの法定点検は、ほかの回の範囲として含めていません。令和2年度・平成30年度の問題は補足に使用。
まとめ|予防保全、12条の報告は特定行政庁へ、修繕費は見込んで積み立て
- 故障の前に手を打つ予防保全が基本。経済的にも、事後保全が望ましいわけではない
- 12条の定期報告は、所有者(管理者が別にいれば管理者)が特定行政庁へ
- 対象は敷地・構造・建築設備・防火設備・昇降機。調べるのは一級建築士だけではない
- 時期は特定行政庁が決める。建物はおおむね6か月〜3年、設備・昇降機はおおむね6か月〜1年が基本
- 長期修繕計画は費用を見込んで積み立て、数年ごとに見直す。修繕の履歴は次の修繕と災害の復旧に役立つ
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 建築基準法(e-Gov法令検索):8条・12条
- 建築基準法施行令(e-Gov法令検索):16条
- 建築基準法施行規則(e-Gov法令検索):5条・6条
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の11問)
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度(問37)・平成30年度(問29・39)の過去問と公式の正答
※写真はイメージです(生成AIで作成)。
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