
「違反は理事会、使用禁止・競売は総会」「書面決議は全員の承諾」を覚えるのがおすすめ!
この記事は、マンション管理士(マン管)と管理業務主任者(管業)の勉強を始めたばかりの人に向けて、標準管理規約の規約違反への対応と電磁的方法を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、図を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|規約違反への対応と電磁的方法(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、規約違反への勧告と差止めの訴訟、総会の決議がいるもの、連絡がつかない区分所有者の扱い、電磁的方法と書面による決議を確認できます。
▼ 読んで学びたい人は、このまま下へ
対応の流れの図、理事会と総会の決議の比べ、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
規約違反への対応|理事会の決議で勧告と差止めの訴訟
勧告・指示・警告と、区分所有者の責任

勧告から訴訟まで、理事会の決議で進められる
差止めの訴訟と弁護士費用

規約違反は理事会、使用禁止・競売は総会の特別決議
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象になる人 | 区分所有者・その同居人、部屋を借りている人・その同居人(区分所有者等) | 67条1項 |
| 勧告・指示・警告 | 法令・規約・使用細則等に違反したり、共同生活の秩序を乱したりしたら、理事長が理事会の決議を経て行う(賃借人に直接もできる) | 67条1項/管業 令和5 問37 ア(不適切) |
| 区分所有者の責任 | 同居人や賃借人が違反したら、区分所有者も是正のための必要な措置をとらなければならない | 67条2項/マン管 令和3 問26 b |
| 差止めなどの訴訟 | 規約・使用細則等の違反や、敷地・共用部分での不法行為に、理事長が理事会の決議を経て、管理組合を代表して差止め・排除・原状回復の訴訟などを行う(総会の決議はいらない) | 67条3項/管業 令和5 問37 イ(不適切)・令和7 問36 エ(適切) |
| 弁護士費用 | 訴えるとき、相手に違約金としての弁護士費用と差止め等の諸費用を請求できる。受け取ったお金は管理費(27条の費用)に充てる | 67条4項・5項/管業 令和5 問37 エ(適切) |
| 区分所有者への通知 | 理事長が原告・被告になったら、遅滞なく区分所有者に知らせる | 67条6項 |
| 使用禁止・競売・引渡し | 区分所有法58〜60条の訴えは、総会の特別決議(組合員総数の過半数で議決権総数の過半数をもつ組合員が出席し、出席組合員とその議決権の各4分の3以上)。決議の前に弁明の機会を与える | 47条3項4号・区分所有法58〜60条/管業 令和5 問37 ウ(適切) |
※マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント(令和7年改正)67条と、公式の正答をもとに整理。改正前の67条3項二号(共用部分等で生じた損害賠償金などの請求)は、改正で24条の2に移りました。
連絡がつかない区分所有者|所在の探索と、令和7年改正の除外の裁判
所在等の探索
除外の裁判(令和7年改正)

除外の裁判が確定したら、議決権も分母から外す
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 所在等の探索 | 届出(31条)をしないことで管理に支障が出る(おそれがある)とき、理事長が理事会の決議を経て探索できる | 67条の2第1項/管業 令和7 問29 ア(不適切) |
| 探索の費用 | 登記事項証明書・住民票の写しの交付手数料や郵便代など。弁護士費用などを足して、その区分所有者に請求できる | 67条の2第2項・コメント67条の2関係②③ |
| 除外の裁判 | 区分所有者やその所在を知ることができないとき、理事長が理事会の決議を経て、裁判所に「所在等不明区分所有者の除外の裁判」を請求できる(理事長は管理者として請求) | 67条の3第1項・コメント67条の3関係(令和7年改正で新設) |
| ほかの人が請求したとき | 理事長以外の区分所有者が請求したら、遅滞なく理事長に知らせる | 67条の3第2項 |
| 裁判が確定したあと | それ以降の総会で議決権をもたない。組合員総数・議決権総数・敷地利用権の持分の総数から外す。招集通知もいらない | 67条の3第3項・4項 |
| 専有部分の管理命令 | 所有者がわからない専有部分や、管理がされていない専有部分は、理事長が理事会の決議を経て、裁判所に管理命令を請求できる | 67条の4・67条の5(令和7年改正で新設) |
※マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント67条の2〜67条の5と、公式の正答をもとに整理。
所在等の探索は改正前からの規定で、令和7年改正では除外の裁判と専有部分の管理命令(67条の3〜67条の5)が新しく加わりました(新旧対照表)。
電磁的方法|メールやウェブで、書面のかわりに使える
電磁的方法でできること
書面・電磁的方法による決議

総会を開かない決議は全員、理事会は工事の承認だけ過半数
| ルール | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 電磁的方法 | 電子情報処理組織を使う方法など(メールなどの送信、ウェブサイトでの閲覧、ファイルを記録した媒体の交付) | 2条11号 |
| 使えるようにするには | 規約で「電磁的方法が利用可能な場合」の規定(各条の(イ))を置くと、書面のかわりに使える | 各条(ア)(イ)の書き分け |
| 議決権の行使 | 書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法で行使できる | 46条(イ)/マン管 令和4 問30 a(不適切) |
| 議事録 | 書面か電磁的記録で作る。電磁的記録なら議長と出席組合員2人が電子署名などをする | 49条(イ) |
| 総会を開かない決議 | 総会で決めることは、組合員全員の承諾があれば、書面または電磁的方法で決議できる(総会の決議と同じ効力) | 50条1項・4項 |
| 理事会を開かない決議 | 専有部分の修繕等の承認など(54条1項5号)だけは、理事の過半数の承諾で書面・電磁的方法の決議ができる | 53条2項 |
| 届出 | 組合員の資格を得たり失ったりした届出も、電磁的方法でできる | 31条(イ)/マン管 令和4 問30 d(適切) |
※マンション標準管理規約(単棟型)・同コメント2条・31条・46条・49条・50条・53条と、公式の正答をもとに整理。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 規約違反の差止めの訴訟を起こすには、総会の決議がいる | 理事会の決議で足りる(管業 令和5 問37 イ) |
| 賃借人の違反には、区分所有者にだけ警告でき、賃借人には警告できない | 賃借人にも直接警告できる(管業 令和5 問37 ア) |
| 規約違反の訴えでは、弁護士費用は請求できない | 違約金としての弁護士費用を請求できる(管業 令和5 問37 エ) |
| 連絡がつかない区分所有者の所在は、理事会の決議を経ずに探索できる | 理事会の決議を経て探索する(管業 令和7 問29 ア) |
| 電磁的方法で議決権を使うことは認められていない | 規約で定めれば使える(マン管 令和4 問30 a) |
| 総会を開かない書面決議は、組合員の4分の3以上の承諾でできる | 組合員全員の承諾がいる(50条1項) |
過去問の出題
令和3〜7年度の過去問で、標準管理規約の規約違反への対応と電磁的方法が主題の問題は、管業で2問、マン管で2問です。ほかに、理事会や賃借人の問題の選択肢として、毎年のように出ています。
| 試験 | 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|---|
| 管業 | 令和7 問29 | 連絡がつかない区分所有者(所在の探索・費用・訴訟の決議) |
| 管業 | 令和5 問37 | 規約違反・使用細則違反・義務違反への対応(警告・差止め・弁護士費用・弁明) |
| マン管 | 令和6 問30 | 集会室で迷惑行為をする人への対応(差止め・区分所有法57条) |
| マン管 | 令和4 問30 | ITを活用した管理組合の運営(電磁的方法の議決権・届出) |
| 管業 | 令和7 問36 エ | 規約違反の差止め訴訟は理事会の決議で(選択肢) |
| マン管 | 令和7 問30 d | 賃借人の規約違反に、賃借人と区分所有者の両方へ勧告(選択肢) |
| マン管 | 令和3 問26 b | 賃借人のペット飼育に勧告・区分所有者の是正義務(選択肢) |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの(令和3〜7年度、マン管・管業とも各年50問)。令和7年改正で答えが変わる問題はありません。
まとめ|違反は理事会の決議で、書面決議は全員の承諾
- 規約・使用細則の違反には、理事長が理事会の決議を経て勧告・指示・警告。賃借人にも直接できる
- やめなければ、理事会の決議を経て差止めなどの訴訟。違約金としての弁護士費用も請求できる
- 区分所有法の使用禁止・競売・引渡しの請求は、総会の特別決議(出席組合員とその議決権の各4分の3以上)
- 連絡がつかない区分所有者は、理事会の決議で所在を探索。令和7年改正で除外の裁判ができ、議決権は分母からも外す
- 電磁的方法は規約で定めれば書面のかわりに使える。総会を開かない決議は全員の承諾、理事会は工事の承認などだけ過半数
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出典・参考にした公式資料
- マンション標準管理規約(国土交通省):令和7年改正 単棟型・同コメント 2条・31条・46条・47条・49条・50条・53条・67条〜67条の5
- 令和7年改正 新旧対照表(単棟型):67条の3〜67条の5の新設と、67条3項の改正前の文言
- マンション管理士試験・管理業務主任者試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
※令和7年10月改正の標準管理規約(単棟型)にもとづく内容です。
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