
「障害者不可」の広告や、障害を理由に誓約書を求めるのは、不当な差別的取扱いの例です。賃管では令和7年度と令和5年度に1問ずつ。「合理的配慮は今は義務」と「負担が重すぎない範囲で」をセットで覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、障害者差別解消法を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、写真を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|障害者差別解消法(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、不当な差別的取扱いの禁止、合理的配慮の提供(令和6年4月から事業者も義務)、国土交通省の対応指針の例を確認できます。前半が障害者差別解消法の内容で、中盤と後半は「個人情報保護法と消費者契約法」の内容です。
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写真と表、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
障害者差別解消法の2つのルール|不当な差別的取扱いの禁止と、合理的配慮の提供
不当な差別的取扱いの禁止
事業者は、障害を理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをして、障害者の権利利益を侵害してはいけません(障害者差別解消法8条1項)。事業者は、商業その他の事業を行う者で(2条7号)、対応指針では個人・法人の別を問わないとされています。障害者は、障害と社会的障壁によって生活に相当な制限を受けている人で(2条1号)、障害者手帳を持つ人に限られません(対応指針)。
対応指針は、住宅の賃貸を事業として営む場合も、障害があることや、客観的に見て正当性のない安全上の懸念を理由に入居を断るのは、不当な差別的取扱いと考えられる、としています。
合理的配慮の提供|令和6年4月から事業者も義務

受付カウンターのタブレットと、段差のない広い通路。障害のある人から求められたら、負担が重すぎない範囲で必要な配慮をする(写真はイメージ)
事業者は、障害者から、社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があり、その負担が過重でないときは、必要かつ合理的な配慮をしなければなりません(障害者差別解消法8条2項)。改正前の8条2項は「配慮をするように努めなければならない」(努力義務)でした。令和3年の改正(令和3年法律第56号)で義務になり、令和6年4月1日から施行されています(e-Govの改正履歴)。
過重な負担かどうかは、事業への影響、実現可能性(人的・体制上の制約など)、費用・負担、事業の規模、財務の状況などから個別の事案ごとに判断し、過重と判断したときは理由をていねいに説明するのが望ましい、とされています(対応指針)。
| 項目 | 不当な差別的取扱いの禁止 | 合理的配慮の提供 |
|---|---|---|
| 条文(事業者) | 8条1項 | 8条2項 |
| 事業者の義務 | 禁止(改正の前から) | 義務(令和6年4月1日から。それまでは努力義務) |
| 行政機関等 | 禁止(7条1項) | 義務(7条2項) |
| どんなとき | 障害を理由に、サービスを断る・条件をつけるなど | 障害者から、社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があったとき |
| しなくてよい場合 | 正当な理由がある取扱いは、不当な差別的取扱いにあたらない(対応指針) | 実施に伴う負担が過重なとき(8条2項) |
※障害者差別解消法7条・8条、改正前の8条2項(e-Govの改正履歴)、国土交通省の対応指針(令和5年11月)をもとに整理。
環境の整備と、国の関わり
合理的配慮とは別に、施設のバリアフリー化や職員の研修など、あらかじめ行う環境の整備もあります。こちらは努力義務のままです(障害者差別解消法5条)。
不動産業の事業者が参考にするのが、国土交通省の対応指針です(11条)。主務大臣は、特に必要があるときは、事業者に報告を求めたり、助言・指導・勧告をしたりできます(12条)。報告をしない、うその報告をした者は20万円以下の過料です(26条)。
不動産の現場での例|国土交通省の対応指針
不当な差別的取扱いにあたる例・あたらない例
国土交通省の対応指針(令和5年11月)には、宅地建物取引業と、不動産管理業(賃貸住宅管理業・特定転貸事業・マンション管理業など)の具体例がのっています。おもなものを表にまとめます。
| 区分 | 対応指針の例 | 出題 |
|---|---|---|
| あたる | 物件一覧表や物件広告に「障害者不可」などと書く | 令和5 問41 |
| あたる | 客観的に見て正当な理由がないのに、「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に仲介を断る | 令和5 問41 |
| あたる | 障害者に、障害を理由とした誓約書の提出を求める | 令和5 問41 |
| あたる | 「当社は障害者向け物件は取り扱っていない」として、話も聞かずに門前払いする | - |
| あたる | 特定転貸事業者が、障害や車椅子の利用などだけを理由に、正当な理由なく敷金や保証金等を通常より多く求める | - |
| あたる | 特定転貸事業者が自ら募集するとき、緊急時に電話で連絡できないという理由だけで入居を断る | - |
| あたる | 不動産管理業者が、契約の相手方に障害者が含まれることを理由に、管理の受託や特定賃貸借契約を断る | - |
| あたらない | 合理的配慮などのために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害の状況等を確認する | 令和7 問22・令和5 問41 |
※国土交通省の対応指針(令和5年11月)別紙【不動産業関係】、令和7 問22・令和5 問41(公式の正答)をもとに整理。令和5 問41 は平成29年3月の指針からの出題ですが、令和5年11月の指針にも同じ例があります。
合理的配慮の例と、義務違反になる例・ならない例
| 区分 | 不動産管理業の例(対応指針) |
|---|---|
| 合理的配慮の例 | ゆっくり話す、筆談、わかりやすい表現に置き換える、タブレット等で図や絵を使う |
| 合理的配慮の例 | 重要事項説明や契約条件などの書類をテキストデータで提供する、ルビ振り、記入欄を広くする |
| 合理的配慮の例 | 契約内容の簡易な要約メモを作る。書類の読み上げ、本人の意思を確かめたうえでの代筆 |
| 義務違反にあたる | 電話が困難な障害者から、メールなどでの手続きを求められたのに、マニュアルが電話のみであることを理由に、具体的に検討せず断る(令和7 問22) |
| 義務違反にあたる | 知的障害のある人などから、わかりづらい言葉の補足を求められたのに、補足せずに重要事項の説明をする |
| 義務違反にあたる | 建物の掲示やお知らせの読み上げ・テキストデータでの提供を求められたのに、具体的に検討せず断る |
| 義務違反にあたらない | 歩行障害のある人から個別訪問での重要事項説明を求められ、人的体制がないため難しい等の理由を説明して断る(令和7 問22) |
※国土交通省の対応指針(令和5年11月)別紙【不動産業関係】3 具体例(不動産管理業)、令和7 問22(公式の正答)をもとに整理。
個別訪問を断るときも、理由を説明することが前提です。対応指針は、訪問の代わりに、相手の承諾を得てウェブ会議システムなどで説明し、契約の機会が得られるよう配慮するのが望ましい、としています。
対応指針の対象には、賃貸住宅管理業と特定転貸事業がはっきり入っています。試験でも、「対応指針は宅建業者向けで、賃貸住宅管理業者の業務には参考とならない」という肢が、最も不適切とされています(令和3 問47)。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 事業者の合理的配慮の提供は、努力義務とされている | 令和6年4月から義務(令和7 問22・8条2項) |
| 「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に仲介を断るのは、不当な差別的取扱いにあたらない | 客観的に見て正当な理由がなければあたる(令和5 問41) |
| 障害の状況を確認するのは、それだけで不当な差別的取扱い | 必要な範囲で、プライバシーに配慮して行えばあたらない(令和7 問22・令和5 問41) |
| マニュアルが電話のみなら、メールでの対応を断っても義務違反ではない | 具体的に検討せずに断るのは義務違反にあたる(令和7 問22) |
| 個別訪問での説明を求められたら、必ず応じなければならない | 人的体制がない等の理由を説明して断るのは義務違反にあたらない(令和7 問22) |
| 対応指針は宅建業者向けで、賃貸住宅管理業者には参考にならない | 不動産管理業者も対象(令和3 問47・対応指針) |
| バリアフリー化などの環境の整備も、事業者の義務 | 環境の整備は努力義務(5条) |
過去問の出題
令和3〜7年度の賃管の過去問で、障害者差別解消法が主題の問題は2問(令和7 問22・令和5 問41)。ほかの問題の選択肢の1つとしても出ています。
| 区分 | 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|---|
| 主題 | 令和7 問22 | 合理的配慮は努力義務ではない/個別訪問を理由を説明して断る/障害の状況の確認/マニュアルを理由に断る |
| 主題 | 令和5 問41 | 火災の懸念を理由に仲介を断る/「障害者お断り」の広告/障害の状況の確認/誓約書 |
| 選択肢の1つ | 令和3 問47 | 対応指針は賃貸住宅管理業者の業務にも参考になる |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの。令和2年度以前に、このテーマの出題は見当たりません(令和元年度は公式の正解番号表が手元にないため数えていません)。
まとめ|合理的配慮は今は義務、負担が重すぎない範囲で
- 事業者は、障害を理由とする不当な差別的取扱いをしてはいけない(8条1項)
- 合理的配慮の提供は、令和6年4月1日から事業者も義務(それまでは努力義務)。負担が過重でない範囲で行う
- 「障害者不可」の広告、火災の懸念を理由に仲介を断る、障害を理由に誓約書を求める=不当な差別的取扱いの例
- マニュアルが電話のみを理由に検討せず断る=義務違反の例。理由を説明して個別訪問を断る=義務違反にあたらない例
- 環境の整備(バリアフリー化・研修など)は努力義務のまま。対応指針は賃貸住宅管理業者も対象
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出典・参考にした公式資料
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(e-Gov法令検索):1条・2条・5条・7条・8条・11条・12条・26条
- 同法の改正履歴(e-Gov法令検索):令和3年法律第56号(令和6年4月1日施行)による8条2項の改正
- 国土交通省「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(令和5年11月):別紙【不動産業関係】
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
※写真はイメージです(生成AIで作成)。
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