
又貸しで借りた人は、大家さんに直接家賃を払う義務を負います。話し合いでの解除は又貸しで借りた人に主張できないので、「契約の終わり方」で整理して覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、賃借権の譲渡・転貸を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話でやさしく解説します。
同じ内容は、約3分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|賃借権の譲渡・転貸(約3分)
あおい先生とけんたさんの会話で、譲渡と転貸のちがい・無断の又貸し・大家さんへの直接の支払い・もとの契約が終わったときを確認できます。
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表と過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
譲渡と転貸のちがいと、無断でしたとき
| 項目 | 賃借権の譲渡 | 転貸(又貸し) |
|---|---|---|
| しくみ | 借りる権利を、ほかの人にまるごと渡す | 借りている部屋を、ほかの人に又貸しする |
| 大家さんの承諾 | 必要(612条1項) | 必要(612条1項) |
| もとの借りる人 | 新しい人が借りる人になる | 借りる人のまま。又貸しの相手には「貸す人(転貸人)」になる |
| 敷金 | 適法に譲渡したら、大家さんはもとの借りる人に返す(622条の2第1項2号) | ― |
※民法612条・622条の2(e-Gov法令検索)。譲渡の相手に敷金は引き継がれない点は、令和5年度問26(公式の正答)でも問われています。
無断で第三者に部屋を使わせたら、大家さんは契約を解除できます(民法612条2項)。一方、信頼関係を壊すほどでなければ解除できないというのは、条文ではなく判例のルールです(信頼関係破壊の法理)。
承諾で迷いやすいケース
| ケース | 結論 |
|---|---|
| 契約書に「無断の譲渡・転貸は禁止」と書いていない | それでも承諾が必要(612条1項) |
| タダで(使用貸借で)友だちに使わせた | 転貸にあたる。612条2項は「使用又は収益をさせた」と書いている |
| 大家さんが承諾してくれない(建物) | 裁判所に「承諾の代わりの許可」を求める制度はない。この制度は借地だけ(借地借家法19条) |
| 借りる人が亡くなり、相続人が引き継いだ | 相続は譲渡ではない。相続人が借りる権利を引き継ぐ(民法896条) |
※令和6年度問25(公式の正答)と、民法612条・896条、借地借家法19条(e-Gov法令検索)をもとに整理。
又貸しで借りた人と大家さんの関係
民法613条1項は、又貸しで借りた人(転借人)は、もとの契約で借りる人が負う債務の範囲を限度に、大家さんに直接義務を負うとしています。
大家さんが直接請求できる額
たとえば、もとの家賃が30万円、又貸しの家賃が40万円なら、大家さんが又貸しで借りた人に直接請求できるのは30万円までです(令和7年度問2・公式の正答)。
| ケース | どうなる? |
|---|---|
| 又貸しで借りた人が、家賃を前払いしていた | 前払いを理由に、大家さんの請求を断れない(613条1項) |
| 大家さんは、もとの借りる人にも請求できる? | できる(613条2項) |
| 又貸しで借りた人が修繕して、大家さんに修繕費を直接請求 | できない。613条が定めるのは、又貸しで借りた人の「義務」 |
| 又貸しで借りた人が、わざと部屋を壊した | もとの借りる人の、大家さんに対する債務不履行になる |
※民法613条(e-Gov法令検索)、令和7年度問2・令和6年度問20(公式の正答)をもとに整理。
もとの契約が終わったとき
| もとの契約の終わり方 | 又貸しで借りた人に主張できる? |
|---|---|
| 話し合いで解除(合意解除) | できない(民法613条3項) |
| 合意解除だが、そのとき家賃の不払いなどで解除できる状態だった | できる(613条3項ただし書) |
| 家賃の不払いなどで解除(債務不履行解除) | できる(判例)。ただし、又貸しの契約が当然に終わるわけではない |
| 期間満了・解約の申入れで終わる | 大家さんが又貸しで借りた人に通知しないと主張できない。通知の日から6か月で又貸しの契約も終わる(借地借家法34条) |
※民法613条3項・借地借家法34条(e-Gov法令検索)。「当然に終わるわけではない」は令和6年度問20(公式の正答)。
サブリースのように会社が借りて又貸しする場合も、もとの契約には借地借家法が当てはまり、大家さんが更新を断るには正当事由が必要です(判例。令和7年度問2・令和6年度問20)。
試験に出る|ひっかけと過去問3問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 契約に禁止の定めがなければ、自由に譲渡・転貸できる | 承諾が必要(612条1項・令和6 問25) |
| タダで使わせるのは、転貸にあたらない | 転貸にあたる(令和6 問25) |
| 建物でも、裁判所に承諾の代わりの許可を求められる | 建物にこの制度はない(借地借家法19条は借地だけ・令和6 問25) |
| 又貸しの家賃が高ければ、その全額を大家さんが直接請求できる | もとの家賃が上限(613条1項・令和7 問2) |
| 前払いしていれば、大家さんの請求を断れる | 断れない(613条1項・令和6 問20) |
| 又貸しで借りた人は、大家さんに修繕費を直接請求できる | できない(令和7 問2) |
| 合意解除を、又貸しで借りた人に主張できる | できない(613条3項・令和7 問2) |
| 家賃の不払いで解除されると、又貸しの契約も当然に終わる | 当然には終わらない(令和6 問20) |
| サブリースのもとの契約には、借地借家法が当てはまらない | 当てはまる。更新を断るには正当事由が必要(判例・令和7 問2・令和6 問20) |
過去問の出題|直近5年で3問
賃管の過去問(令和3〜7年度)を1問ずつ見ると、譲渡・転貸がメインの問題は3問ありました(令和7年度1問・令和6年度2問)。令和7年度問2と令和6年度問20は「サブリース」の問題として出ていますが、中身は転貸の民法のルールです。
| 区分 | 出題(年度・問) | 問われたこと |
|---|---|---|
| メイン | 令和7 問2 | 更新拒絶の正当事由・直接請求の額・修繕費・合意解除 |
| メイン | 令和6 問25 | 相続・使用貸借・禁止の定めがない場合・裁判所の許可 |
| メイン | 令和6 問20 | 借地借家法の適用・わざと壊したとき・前払い・不払いでの解除 |
| 選択肢の1つ | 令和5 問26 | 賃借権の譲渡と敷金 |
※問題文と公式の正答をもとに、1問ずつ数えたものです。
まとめ|譲渡・転貸は「承諾・直接・終わり方」で整理する
- 譲渡も転貸も、大家さんの承諾が必要(契約書に書いていなくても)
- 無断なら原則解除できるが、信頼関係を壊すほどでなければ解除できない(判例)
- 又貸しで借りた人は、大家さんに直接家賃を払う義務を負う。上限は少ないほうの家賃
- 話し合いの解除は主張できず、家賃の不払いなどでの解除は主張できる
- 期間満了などで終わるときは、又貸しで借りた人への通知から6か月
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 民法(e-Gov法令検索):612条・613条・622条の2・896条
- 借地借家法(e-Gov法令検索):19条・34条
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答
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