
鍵の交換などの自力救済は禁止で、明け渡しは判決と強制執行で求めます。賃管では直近5年で8問出ているので、「お金の請求」と「明け渡し」の手続きを分けて覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、家賃の滞納と、契約の解除・明け渡しのルールを、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話でやさしく解説します。
同じ内容は、約3分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|家賃滞納と契約解除・明渡し(約3分)
あおい先生とけんたさんの会話で、解除の前の催告と信頼関係・自力救済の禁止・判決と強制執行・少額訴訟・支払督促・供託を確認できます。
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表と過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
すぐに解除できる?催告と信頼関係
民法541条は、相当の期間を定めて催告し、その期間内に払われないときは、契約を解除できるとしています。ただし、期間がすぎたときの不払いが軽微なら、解除できません(同条ただし書)。
これは条文ではなく、判例の考え方です(信頼関係破壊の法理)。
解除できるとき・できないとき
| ケース | どうなる? |
|---|---|
| 期間を決めて催告し、期間内に払われない | 解除できる(541条本文) |
| 1回だけ遅れた | 解除が認められないことが多い(判例) |
| 払わないとはっきり伝えている | 催告なしで解除できる(542条1項2号・令和5 問25) |
| 借りる人に落ち度(帰責事由)がない | 解除の条件ではない。解除できる(541条・令和7 問6) |
| 保証会社が代わりに払った | 解除が認められる場合がある(判例・令和5 問25・令和7 問6) |
| 解除したあと | 将来に向かってだけ効力が生じる(620条・令和5 問25) |
※民法541条・542条・620条(e-Gov法令検索)。過去問は公式の正答から。
どんな手続きを使う?自力救済の禁止と、裁判の手続き
鍵の交換などの自力救済は禁止
自力救済の禁止も、条文ではなく判例の考え方です。「滞納したら、すぐに施錠できる」という特約も無効です(令和6 問4)。
明け渡しの強制執行は、執行官が行います(民事執行法168条1項)。強制執行には、確定判決などの債務名義が必要です(22条)。
| 手続き | お金(滞納家賃) | 部屋の明け渡し |
|---|---|---|
| ふつうの訴訟(判決) | できる | できる |
| 少額訴訟 | 60万円以下ならできる | できない |
| 支払督促 | できる | できない |
| 強制執行に従うと書いた公正証書(執行証書) | 訴訟なしで強制執行できる | できない(判決などが必要) |
※民事訴訟法368条・382条、民事執行法22条(e-Gov法令検索)。
少額訴訟と支払督促
回数の上限は、民事訴訟法368条1項で最高裁判所規則が決めるとされ、裁判所の案内では、同じ裁判所で年間10回までです。
| 項目 | 少額訴訟 | 支払督促 |
|---|---|---|
| 請求できるもの | 60万円以下のお金(368条1項) | お金など(382条) |
| どこで | 簡易裁判所 | 相手の住所地の簡易裁判所の書記官(383条) |
| 進め方 | 原則1回の審理で、すぐに判決(370条・374条) | 書類だけ。相手を呼ばずに発する(386条1項) |
| 不服があるとき | 控訴はできない。2週間以内に同じ裁判所へ異議(377条・378条) | 督促異議で、ふつうの訴訟に移る(395条) |
| 強制執行 | 判決で、できる | 仮執行宣言がつけば、できる(391条・民事執行法22条) |
※民事訴訟法(e-Gov法令検索)、裁判所の「少額訴訟」「支払督促」の案内。
受け取ってもらえない家賃は供託
持っていって断られただけでは、家賃の債務は残ります(492条・令和5 問19)。債務が消えるのは、供託したときです(494条1項)。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 供託できるとき | 受け取りを拒まれた・受け取れない・だれに払うか過失なくわからない(494条) |
| どこに | 家賃を払う場所の供託所(法務局など)(495条1項・供託法1条) |
| 効果 | 供託したときに、家賃の債務が消える(494条1項) |
| 供託したあと | 遅れずに大家さんに通知する(495条3項) |
※民法494条・495条、供託法1条(e-Gov法令検索)。
試験に出る|ひっかけと過去問8問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 1回でも家賃を払わなければ、解除できる | 信頼関係が壊れているかで判断(判例・令和5 問25) |
| 解除の通知は、内容証明郵便でないと効力がない | 届けば効力が生じる(97条1項・令和6 問18) |
| 判決が確定すれば、自分で部屋に入り荷物を処分できる | 強制執行の手続きによる(令和3 問22) |
| 公正証書で契約すれば、明け渡しも訴訟なしで強制執行できる | お金だけ。明け渡しは判決などが必要(民事執行法22条・令和3 問22・令和6 問18) |
| 少額訴訟で、お金と明け渡しを一緒に請求できる | お金だけ(368条1項・令和6 問11) |
| 少額訴訟の判決に不服なら、地方裁判所に控訴できる | 控訴できない。同じ裁判所に異議(377条・378条・令和6 問11) |
| 年10回使ったら、ほかの簡易裁判所でも使えない | 回数は同じ簡易裁判所ごと(368条1項・令和6 問18) |
※過去問は令和3〜7年度の公式の正答から。
過去問の出題|直近5年で8問
賃管の過去問(令和3〜7年度)を1問ずつ見ると、滞納・解除・明け渡し・家賃の回収がメインの問題は8問、選択肢の1つで出た問題は3問ありました。
| 区分 | 出題(年度・問) | 問われたこと |
|---|---|---|
| メイン | 令和7 問6 | 不払いによる解除(帰責事由・保証会社) |
| メイン | 令和7 問28 | 3か月の滞納(連帯保証人・敷金) |
| メイン | 令和6 問18 | 回収の手続き(公正証書・支払督促・少額訴訟) |
| メイン | 令和6 問11 | 原状回復の少額訴訟(明け渡し・控訴) |
| メイン | 令和5 問25 | 解除(無催告・1回の不払い・保証会社) |
| メイン | 令和5 問19 | 家賃の債務がなくなるとき(供託・敷金) |
| メイン | 令和5 問7 | 無催告解除・荷物の処分・損害金の条項 |
| メイン | 令和3 問22 | 回収と明け渡し(自力救済・公正証書) |
| 選択肢の1つ | 令和7 問33/令和5 問11 | 少額訴訟(移行・反訴・60万円) |
| 選択肢の1つ | 令和6 問4 | 滞納したら施錠できる特約 |
※問題文と公式の正答をもとに、1問ずつ数えたものです。
まとめ|解除は催告、追い出しは裁判、少額訴訟はお金だけ
- 解除の前には、期間を決めた催告が原則(541条)
- 1回の遅れでは解除が認められないことが多い。信頼関係が壊れているかで判断(判例)
- 鍵の交換や荷物の運び出しなどの自力救済は禁止(判例)。判決と強制執行で明け渡しを求める
- 少額訴訟は60万円以下のお金の請求だけ。同じ簡易裁判所で年10回まで
- 受け取ってもらえない家賃は、供託すれば払ったことになる
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出典・参考にした公式資料
- 民法(e-Gov法令検索):97条・492条・494条・495条・541条・542条・620条
- 民事訴訟法(e-Gov法令検索):368〜378条・382〜396条
- 民事執行法(e-Gov法令検索):22条・168条
- 供託法(e-Gov法令検索):1条
- 裁判所「少額訴訟」「支払督促」
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