
家賃は民法では後払いが原則で、建物の賃貸借に50年の上限はありません。賃管では直近5年で5問出ているので、「民法の原則」と「建物の特別ルール」を分けて覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、賃貸借のきほんを、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話でやさしく解説します。
同じ内容は、約3分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|賃貸借のきほん(約3分)
あおい先生とけんたさんの会話で、賃貸借の成り立ち・貸す人と借りる人の義務・家賃の支払い時期・期間の上限・持ち主が変わったときを確認できます。
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表と過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
賃貸借ってなに?合意で成り立つ約束と2人の義務
民法601条は、賃貸借を「物を使わせる」「家賃を払う」「引き渡しを受けた物を、契約が終わったときに返す」の3つを約束する契約としています。
民法522条2項は、法令に特別の定めがある場合を除き、契約の成立に書面などの方式はいらないとしています。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 契約書 | なくても成り立つ(522条2項) |
| 部屋の引き渡し | 成立の条件ではない(令和4 問28) |
| 期間・終わりの日 | 決めなくても成り立つ(令和6 問21・令和5 問21) |
| 定期建物賃貸借 | 書面か電磁的記録が必要(借地借家法38条1項・2項) |
※民法522条・601条、借地借家法38条(e-Gov法令検索)。過去問は公式の正答から。
貸す人と借りる人の義務
| だれ | 義務 | 根拠 |
|---|---|---|
| 貸す人 | 部屋を使わせる | 民法601条 |
| 貸す人 | 使うのに必要な修繕をする(借りる人のせいで必要になった修繕は除く) | 606条1項 |
| 貸す人 | 借りる人が払った必要費を、すぐに返す | 608条1項 |
| 借りる人 | 家賃を払う | 601条 |
| 借りる人 | 返すまで、善良な管理者の注意(善管注意)で部屋を保存する | 400条 |
| 借りる人 | 契約や部屋の性質で決まった使い方を守る | 616条・594条1項 |
| 借りる人 | 修繕が必要になったら、遅れずに大家さんに知らせる | 615条 |
| 借りる人 | 終わったら部屋を返し、原状回復をする(ふつうの使い方による損耗・経年変化は除く) | 601条・621条 |
※民法(e-Gov法令検索)。
修繕は修繕と賃料の増減額、原状回復は原状回復ガイドラインの記事でくわしく解説しています。
家賃・期間・持ち主が変わったら|民法と借地借家法のちがい
家賃は後払いが原則
民法614条は、建物の家賃を毎月末に払うとしています。支払いの時期を決めなかったときは、当月分を当月末に払うことになります(令和5 問21・公式の正答)。
民法91条は、公の秩序に関しない規定とちがう意思を表示したときは、その意思に従うとしています。「翌月分を前月末までに払う」などの前払いの特約があれば、その特約に従います。
期間は、建物なら50年の上限なし
民法604条は、賃貸借の期間を50年までとしています。一方、借地借家法29条2項は、この604条を建物の賃貸借には使わないとしています。
| 項目 | 民法の原則 | 建物の賃貸借(借地借家法) |
|---|---|---|
| いちばん長い期間 | 50年(長く決めても50年) | 上限なし |
| 1年未満の期間 | ― | 期間の定めがない賃貸借とみなす(定期建物賃貸借はそのまま有効) |
※民法604条、借地借家法29条・38条1項(e-Gov法令検索)。
持ち主が変わったら|引き渡しで対抗できる
民法605条の原則では、賃貸借を主張するには登記が必要です。借地借家法31条は、建物の賃貸借なら、登記がなくても、建物の引き渡しがあれば、そのあとに建物を取得した人に効力が生じるとしています。
| ケース | どうなる? |
|---|---|
| 大家さんが部屋を売る | 借りる人の承諾はいらない(令和5 問26) |
| 借りる人が引き渡しを受けている | 新しい持ち主にも、住み続けられると主張できる(借地借家法31条) |
| 大家さんの立場(賃貸人たる地位) | 新しい持ち主に移る(605条の2第1項) |
| 新しい持ち主が家賃を請求する | 所有権移転の登記が必要(605条の2第3項) |
| 敷金の返還・必要費の償還 | 新しい持ち主が引き継ぐ(605条の2第4項) |
| 売る人と買う人の合意で、大家さんの立場を移す | 借りる人の承諾はいらない(605条の3) |
※民法605条・605条の2・605条の3、借地借家法31条(e-Gov法令検索)。
試験に出る|ひっかけと過去問5問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 賃貸借は、契約書や部屋の引き渡しがないと成り立たない | 合意だけで成り立つ(522条2項・601条・令和4 問28) |
| 期間や終わりの日を決めないと、賃貸借は成り立たない | 決めなくても成り立つ(令和6 問21・令和5 問21) |
| 支払いの時期を決めなければ、家賃は前払い | 当月分を当月末に払う(614条・令和5 問21) |
| 建物の賃貸借も、期間は50年を超えられない | 建物は上限なし(借地借家法29条2項・令和6 問21) |
| 賃借権の対抗要件は、登記だけ | 建物は引き渡しでもよい(借地借家法31条・令和4 問25・令和7 問40) |
| 大家さんの立場を移すには、借りる人の承諾がいる | いらない(605条の3・令和5 問26・令和3 問28) |
| 登記をしていない新しい持ち主にも、家賃を払わないといけない | 登記がなければ、払うのを拒める(605条の2第3項・令和3 問28) |
※過去問は令和3〜7年度の公式の正答から。
過去問の出題|直近5年で5問
賃管の過去問(令和3〜7年度)を1問ずつ見ると、賃貸借のきほんがメインの問題は5問ありました。このほか、選択肢の1つで出た問題が2問あります。
| 区分 | 出題(年度・問) | 問われたこと |
|---|---|---|
| メイン | 令和5 問21 | 成立に終わりの日の合意はいるか・支払い時期 |
| メイン | 令和4 問28 | 賃貸借と使用貸借のちがい |
| メイン | 令和5 問26 | 部屋を売るとき(承諾・立場の移転・敷金) |
| メイン | 令和3 問28 | 持ち主が変わったとき(立場の移転・登記と家賃) |
| メイン | 令和4 問25 | 抵当権がある建物の賃借権(対抗要件) |
| 選択肢の1つ | 令和6 問21 | 50年の上限・期間は成立の条件か |
| 選択肢の1つ | 令和7 問40 | 引き渡しを受けた借りる人の対抗力 |
※問題文と公式の正答をもとに、1問ずつ数えたものです。
まとめ|賃貸借のきほんは「民法の原則」と「建物の特別ルール」
- 賃貸借は、使わせる・家賃を払う・終わったら返す約束。合意だけで成り立つ
- 貸す人は使わせる義務と修繕の義務。借りる人は家賃・使い方・保存の義務と、返すときの原状回復
- 家賃は民法では後払い(建物は毎月末)が原則。特約で前払いにできる
- 民法の期間の上限は50年。建物の賃貸借には上限がない
- 引き渡しを受けていれば、新しい持ち主にも住み続けられると主張できる
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 民法(e-Gov法令検索):91条・400条・522条・594条・601条・604条・605条・605条の2・605条の3・606条・608条・614〜616条・621条
- 借地借家法(e-Gov法令検索):29条・31条・38条
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答
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