
後半は消費者契約法です。貸主の損害賠償の責任を全部免除する特約などは無効、解除のときの違約金は平均的な損害を超える部分だけ無効です。「委託先は第三者ではない」と「超える部分だけ無効」をセットで覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、個人情報保護法と消費者契約法を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、写真を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|個人情報保護法と消費者契約法(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、個人情報取扱事業者・利用目的・要配慮個人情報・第三者提供と委託、消費者契約法で無効になる特約と更新料を確認できます。中盤が個人情報保護法、後半が消費者契約法の内容で、前半は「障害者差別解消法」の内容です。
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写真と表、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
個人情報保護法のきほん|個人情報取扱事業者・利用目的・要配慮個人情報
適用されるのは「個人情報取扱事業者」

鍵のかかる書類キャビネットとノートパソコン。入居者の書類やデータを扱う管理会社は、個人情報保護法のルールを守る(写真はイメージ)
個人情報は、生存する個人に関する情報で、氏名・生年月日などで特定の個人を識別できるものです。他の情報と容易に照合でき、それで特定の個人を識別できるものも含みます(個人情報保護法2条1項)。住所や電話番号だけでも、ほかの情報と照合して特定の個人がわかるなら、個人情報にあたることがあります(令和7 問24)。個人情報を検索できるように体系的にまとめたものが個人情報データベース等で、それを事業に使っている者が個人情報取扱事業者です(16条1項・2項)。扱う人数で除かれる決まりはありません。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 個人情報 | 生存する個人の情報で、特定の個人を識別できるもの。他の情報と容易に照合して識別できるものを含む(2条1項・令和7 問24) |
| 要配慮個人情報 | 人種・信条・社会的身分・病歴・犯罪の経歴・犯罪の被害など、不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮を要する情報(2条3項) |
| 個人情報データベース等 | 個人情報を、パソコンなどで検索できるように体系的に構成したもの(16条1項) |
| 個人情報取扱事業者 | 個人情報データベース等を事業の用に供している者。扱う人数によらない(16条2項・令和4 問42) |
| 個人データ | 個人情報データベース等を構成する個人情報(16条3項) |
※個人情報保護法2条・16条、令和7 問24・令和4 問42(公式の正答)をもとに整理。
利用目的の特定と、通知・公表
個人情報を取り扱うときは、利用目的をできる限り特定します(個人情報保護法17条1項)。取得したら、あらかじめ公表しているときを除き、速やかに利用目的を本人に通知するか公表します(21条1項)。
| 場面 | ルール |
|---|---|
| 取り扱うとき | 利用目的をできる限り特定する(17条1項) |
| 取得したとき | 利用目的をあらかじめ公表していれば、本人への通知はいらない。公表していなければ、速やかに通知か公表(21条1項・令和7 問24) |
| 契約書や申込書など、本人から直接書面で取得するとき | あらかじめ本人に利用目的を明示する(21条2項) |
| 利用目的の範囲を超えて使うとき | あらかじめ本人の同意がいる(法令にもとづく場合などの例外あり)(18条) |
| 利用目的を変えるとき | 変更前の目的と関連性があると合理的に認められる範囲まで。変えたら通知か公表(17条2項・21条3項) |
| 本人からの請求 | 保有個人データの開示・訂正・利用停止などを請求できる(33条〜35条) |
※個人情報保護法17条・18条・21条・33条〜35条、令和7 問24(公式の正答)をもとに整理。
要配慮個人情報は、原則として本人の同意
要配慮個人情報は、法令にもとづく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはいけません(個人情報保護法20条2項)。試験でも、要配慮個人情報は、利用目的の特定・通知・公表に加えて、あらかじめ本人の同意が必要、という肢が正しいとされています(令和2 問3)。また、本人の求めがあれば提供を止める「オプトアウト」のしくみ(27条2項)は、要配慮個人情報には使えません。
個人データを渡すときと、消費者契約法|第三者提供・委託・無効になる特約
第三者提供と委託
個人情報取扱事業者は、法令にもとづく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはいけません(個人情報保護法27条1項)。個人情報保護委員会の許可はいりません(令和7 問24)。利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託するときの委託先は、第三者にあたりません(27条5項1号)。そのかわり、委託した事業者は、委託先を監督します(25条)。
| 渡す先・場面 | 本人の同意 |
|---|---|
| 第三者 | 原則としてあらかじめ本人の同意がいる。個人情報保護委員会の許可はいらない(27条1項・令和7 問24) |
| 法令にもとづく場合、人の生命・身体・財産の保護に必要で同意を得るのが困難なときなど | 同意はいらない(27条1項各号) |
| 委託先(利用目的の達成に必要な範囲) | 第三者にあたらない=同意はいらない。委託先を監督する(27条5項1号・25条・令和4 問42)。合併などの事業の承継、決まった形の共同利用も第三者にあたらない(27条5項2号・3号) |
| 同じ会社の他の部署 | 当初の利用目的の達成に必要な範囲なら、同意はいらない(令和7 問24) |
※個人情報保護法25条・27条、令和7 問24・令和4 問42(公式の正答)をもとに整理。
なお、借りる人の委託を受けた保証人から求められたら、貸主は、家賃などの不払いの有無や残額の情報を提供しなければなりません(民法458条の2)。試験では、貸主は個人情報保護を理由に拒むことはできない、という肢が正しいとされています(令和4 問27)。くわしくは「保証」の回で解説しています。
消費者契約法|借りる人に不利な特約は無効になる

契約書のような書類と印鑑、部屋の鍵。住むために部屋を借りる個人と、事業者の貸主との契約には、消費者契約法が適用される(写真はイメージ)
消費者は、事業として(事業のために)契約するのではない個人、事業者は法人などの団体と事業として契約する個人で、その間の契約が消費者契約です(消費者契約法2条)。民法の任意規定と比べて消費者の権利を制限したり義務を重くしたりする条項で、信義則(民法1条2項)に反して消費者の利益を一方的に害するものも、無効です(10条)。
| 特約(条項) | 消費者契約法では |
|---|---|
| 貸主の債務不履行による損害賠償の責任を全部免除する | 無効(8条1項1号・令和6 問39) |
| 貸主の故意・重大な過失による債務不履行の損害賠償の責任を一部免除する | 無効(8条1項2号・令和6 問39) |
| 貸主の債務不履行で生じる借りる人の解除権を放棄させる | 無効(8条の2・令和6 問39) |
| 解除に伴う損害賠償の予定・違約金 | 平均的な損害の額を超える部分だけ無効。全部無効ではない(9条1項1号・令和6 問39) |
| 支払いが遅れたときの損害賠償の予定・違約金 | 年14.6%の割合で計算した額を超える部分は無効(9条1項2号) |
| 信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項 | 無効(10条) |
※消費者契約法2条・8条・8条の2・9条・10条、令和6 問39(公式の正答)をもとに整理。
更新料の特約は、高すぎなければ有効(判例)
これは判例(最高裁 平成23年7月15日判決)の考え方です。賃貸借契約書に一義的かつ具体的に書かれた更新料の条項は、更新料の額が賃料の額や更新される期間などに照らして高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条で無効にはならない、とされました。この事件では、更新料が賃料の2か月分、更新される期間が1年の条項が、有効とされています。
なお、国土交通省の賃貸住宅標準契約書には、更新料の支払いの定めはありません(令和3 問23)。更新のルールは「普通建物賃貸借」の回で解説しています。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 扱う個人情報が5,000人分以下の事業者には、個人情報保護法は適用されない | 個人情報データベース等を事業に使っていれば適用される(令和4 問42) |
| 委託先への提供は、利用目的の範囲内でも第三者提供にあたり、本人の同意がいる | 委託先は第三者にあたらない(令和4 問42・27条5項1号) |
| 個人データを第三者に提供するには、個人情報保護委員会の許可がいる | 許可はいらない。原則として本人の同意(令和7 問24) |
| 利用目的を公表していても、取得したら本人に通知しなければならない | 公表していれば通知はいらない(令和7 問24) |
| 要配慮個人情報も、利用目的を通知・公表すれば、同意なしで取得できる | 原則としてあらかじめ本人の同意(令和4 問42・令和2 問3) |
| 平均的な損害を超える違約金の特約は、全部無効 | 超える部分だけ無効(令和6 問39) |
| 更新料の特約は、消費者契約法10条で無効 | 一義的かつ具体的に書かれ、高額に過ぎなければ有効(判例) |
過去問の出題
令和3〜7年度の賃管の過去問で、個人情報保護法が主題の問題は2問(令和7 問24・令和4 問42)、消費者契約法が主題の問題は1問(令和6 問39)。令和2年度にも個人情報の問題が2問あります。
| 区分 | 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|---|
| 個人情報(主題) | 令和7 問24 | 照合して識別できる情報/他の部署への提供/委員会の許可はいらない/公表していれば通知不要 |
| 個人情報(主題) | 令和4 問42 | 要配慮個人情報の同意/委託先は第三者でない/5,000人分以下でも適用 |
| 個人情報(選択肢の1つ) | 令和4 問27 | 保証人からの情報提供の請求は、個人情報保護を理由に拒めない |
| 個人情報(令和2年度) | 令和2 問3・問33 | 要配慮個人情報はあらかじめ本人の同意/感染した借主を特定して貸主や他の借主に告知するのは最も不適切 |
| 消費者契約法(主題) | 令和6 問39 | 全部免除・故意重過失の一部免除・解除権の放棄は無効/違約金は超える部分だけ無効 |
| 補足 | 令和3 問23 | 賃貸住宅標準契約書には更新料の定めがない |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの。令和2年度は公式の正解番号表で正答を確かめています。令和元年度は公式の正解番号表が手元にないため数えていません。
まとめ|委託先は第三者ではない、違約金は超える部分だけ無効
- 個人情報データベース等を事業に使っていれば個人情報取扱事業者。扱う人数が5,000人分以下でも適用
- 取得したら利用目的を通知か公表(あらかじめ公表していれば通知不要)。要配慮個人情報の取得は原則として本人の同意
- 個人データの第三者提供は原則として本人の同意。委員会の許可はいらない。委託先は第三者にあたらない
- 消費者契約法:全部免除・故意重過失の一部免除・解除権の放棄の特約は無効。違約金は平均的な損害を超える部分だけ無効
- 信義則に反して一方的に害する条項は無効。更新料の特約は、はっきり書かれ高すぎなければ有効(判例)
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索):2条・16条・17条・18条・20条・21条・25条・27条・33条〜35条
- 消費者契約法(e-Gov法令検索):2条・8条・8条の2・9条・10条
- 民法(e-Gov法令検索):458条の2
- 最高裁判所 平成23年7月15日 第二小法廷判決(平成22年(オ)第863号):更新料条項と消費者契約法10条
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和2年度(問3・問33)の過去問と公式の正答
※写真はイメージです(生成AIで作成)。
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