
カギは、契約の前に契約書とは別の書面で説明すること。賃管では毎年1問出るので、事前説明と終了の通知をセットで覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、定期建物賃貸借を、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話でやさしく解説します。
同じ内容は、約3分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|定期建物賃貸借(約3分)
あおい先生とけんたさんの会話で、更新がないしくみ・期間・別の書面での説明・終了の通知・途中の解約を確認できます。
▼ 読んで学びたい人は、このまま下へ
表と過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
定期建物賃貸借ってなに?更新がない賃貸借
ふつうの賃貸借では、大家さんが更新を断るには正当事由が必要です(借地借家法26条・28条)。
| 項目 | ふつうの賃貸借 | 定期建物賃貸借 |
|---|---|---|
| 更新 | あり(大家さんが断るには正当事由が必要) | なし(期間が終われば契約も終わる) |
| 契約のしかた | 口約束でも成立する | 書面か電磁的記録(電子契約) |
| 1年より短い期間 | 期間の定めがない契約になる | そのまま有効 |
| 契約の前の説明 | ― | 契約書とは別の書面を渡して説明する |
| 家賃を下げない特約 | 特約があっても減額を請求できる(判例) | 家賃の改定の特約があれば、その特約に従う |
※借地借家法26・28・29・32・38条、民法601条(e-Gov法令検索)。
期間は1年より短くても有効
ふつうの賃貸借で1年未満とすると、期間の定めがない賃貸借とみなされます(29条1項)。定期建物賃貸借には、この29条1項が使われません(38条1項後段)。
長いほうも、民法604条の「50年まで」の上限は、建物の賃貸借には当てはまりません(借地借家法29条2項)。
手続きと終わり方|別の書面での説明・通知・途中の解約
契約は書面か、電磁的記録で結ぶ
38条1項は「公正証書による等書面によって」と定めています。公正証書は書面の一例なので、公正証書でなくても構いません。また、内容を記録した電磁的記録(電子契約)で結んだ場合も、書面で結んだものとみなされます(38条2項)。
契約の前に、別の書面を渡して説明する
| 項目 | ルール |
|---|---|
| だれが | 大家さん(賃貸人) |
| いつ | 契約を結ぶ前(あらかじめ) |
| なにを | 更新がなく、期間が終わると契約も終わること |
| どうやって | その旨を書いた書面を交付して説明する |
| 契約書に書くだけ | × 契約書とは別の書面が必要(判例) |
| メールなどで渡す | 借りる人の承諾があればできる |
| 説明しなかったら | 更新がないという決まりが無効になる(ふつうの賃貸借として続く) |
※借地借家法38条3〜5項(e-Gov法令検索)。「契約書とは別の書面」は、最高裁判所 平成24年9月13日判決(判例)による考え方で、令和3年度問26の正答も同じです。
説明する義務があるのは大家さんで、代理権のない宅建業者の説明では足りません(令和6年度問22)。宅建業者が重要事項説明をしても、説明の書面は必要です(令和3年度問26)。
期間が1年以上なら、終了の通知がいる
期間が1年以上のときは、期間が終わる1年前から6か月前までに、借りる人に「契約が終わる」と通知します。
| ケース | どうなる? |
|---|---|
| 期間1年以上・通知期間(1年前〜6か月前)に通知した | 期間が終わったときに、終了を主張できる |
| 期間1年以上・通知を忘れた | 期間が終わっても、終了を借りる人に主張できない |
| 期間1年以上・通知が遅れた | 通知した日から6か月たてば、終了を主張できる |
| 期間1年未満(例:3か月) | 通知はいらない |
※借地借家法38条6項。3か月の例は令和5年度問24の正答から。
借りる人からの途中の解約
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 建物 | 住まい(居住用)で、床面積が200㎡未満 |
| 事情 | 転勤・療養・親族の介護などのやむを得ない事情で、住み続けるのがむずかしくなった |
| 終わる時期 | 解約を申し入れた日から1か月 |
| 借りる人に不利な特約 | 無効 |
※借地借家法38条7項・8項。
一方、大家さんからの途中の解約は、原則としてできません。試験でも「中途解約の特約があれば、大家さんは正当事由なしに途中で解約できる」は×です(令和6年度問22・令和3年度問26)。国土交通省「解釈・運用の考え方」も、定期借家のサブリース契約について同じように説明しています。
試験に出る|ひっかけと過去問5問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 説明の内容は、契約書に書いておけば足りる | 契約書とは別の書面が必要(判例) |
| 書面にもとづいて説明すれば、書面は渡さなくてよい | 書面を交付して説明する(38条3項) |
| 借りる人の承諾がなくても、メールで説明の書面を送れる | 承諾が必要(38条4項) |
| 1年より短い定期建物賃貸借は、期間の定めがない契約になる | そのまま有効(38条1項) |
| 期間3か月の契約でも、終了の通知がいる | 通知がいるのは期間1年以上(38条6項) |
| 通知が遅れたら、期間が終わってから6か月で終わる | 通知した日から6か月(38条6項) |
| 家賃を増減しない特約があっても、借りる人は減額を請求できる | 改定の特約があれば32条は使われない(38条9項) |
※令和3〜7年度の過去問(令和7 問4・29、令和6 問22、令和5 問24、令和4 問24、令和3 問26)の公式の正答をもとに整理。
過去問の出題|直近5年で5問
賃管の過去問(令和3〜7年度)を1問ずつ見ると、定期建物賃貸借がテーマの問題は毎年1問、合計5問ありました(令和7 問4・令和6 問22・令和5 問24・令和4 問24・令和3 問26)。
| テーマ | 出た回数 | 出題(年度・問) |
|---|---|---|
| 事前の説明(書面の交付・別の書面・説明する人・メール) | 4問 | 令和7 問4/令和6 問22/令和5 問24/令和3 問26 |
| 借りる人からの途中の解約 | 2問 | 令和7 問4/令和6 問22 |
| 大家さんからの途中の解約 | 2問 | 令和6 問22/令和3 問26 |
| 終了の通知 | 2問 | 令和6 問22/令和5 問24 |
| 電磁的記録での契約 | 2問 | 令和7 問4/令和5 問24 |
| 期間(1年未満・50年超) | 2問 | 令和7 問4/令和4 問24 |
| 家賃を下げない特約 | 2問 | 令和4 問24/令和3 問26 |
| そのほか(大家さんの死亡で終わる特約・期間の記載・切り替え) | 2問 | 令和5 問24/令和4 問24 |
※問題文と公式の正答をもとに、記述のテーマごとに数えました(1問に複数のテーマが入るため、合計は5問より多くなります)。このほか、令和7 問29(賃料増減請求)と令和5 問38(サブリース)の選択肢にも、定期建物賃貸借の「家賃を下げない特約」が出ています。
まとめ|定期建物賃貸借は「別の書面で説明」がカギ
- 定期建物賃貸借は、更新がなく、期間が終わったら契約も終わる。正当事由もいらない
- 契約は書面か電磁的記録で。公正証書でなくてよく、1年より短い期間も有効
- 契約の前に、契約書とは別の書面を渡して説明する。しなければ普通の賃貸借になる
- 期間1年以上なら、1年前から6か月前までに終了を通知する
- 200㎡未満の住まいなら、やむを得ない事情で借りる人が解約でき、1か月で終わる
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 借地借家法(e-Gov法令検索)
- 民法(e-Gov法令検索)
- 国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答
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