
保証業者が家賃を立て替えても、それだけで不払いがなかったことにはなりません。令和7年10月からは認定家賃債務保証業者の制度も始まりました。「登録は任意・5年ごとの更新」と「立て替えても不払いは消えない」をセットで覚えるのがおすすめ!
この記事は、賃管の勉強を始めたばかりの人に向けて、家賃債務保証業者のルールを、あおい先生と、不動産会社に入ったばかりのけんたさんの会話で、写真を見ながらやさしく解説します。
同じ内容は、約4分の動画でも紹介しています(目次のすぐ下)。
動画で学ぶ|家賃債務保証業者(約4分)
あおい先生とけんたさんの会話で、家賃債務保証業者の登録・業務のルール・立替えと解除・認定家賃債務保証業者を確認できます。後半が家賃債務保証業者の内容で、前半は「住宅セーフティネット法」の内容です。
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写真と表、過去問の出題まで、記事でくわしく解説しています。
登録制度と業務のルール|登録は任意・5年ごとの更新、契約前の書面
登録は任意、5年ごとの更新

保証の契約の書類と、部屋の鍵。家賃債務保証業者は、借りる人の委託を受けて家賃の支払いを保証する(写真はイメージ)
家賃債務保証業は、借りる人の委託を受けて、家賃の支払いの債務を保証することを業として行うことです(家賃債務保証業者登録規程2条1項)。この登録制度は法律ではなく、国土交通省の告示で決められています(平成29年10月25日施行)。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 登録 | 国土交通大臣の登録を受けることができる(任意)(3条1項) |
| 有効期間 | 5年ごとに更新を受けないと、効力を失う(3条2項) |
| 登録簿 | 国土交通大臣が一般の閲覧に供する(8条・令和3 問46) |
| 登録の基準の例 | 純資産額1,000万円以上、暴力団員等の関与がない、求償権の行使方法が適切、相談・苦情に応じる体制がある、業務の経験(6条1項) |
| 変更の届出 | 登録事項が変わったら30日以内に届け出る(7条1項) |
| 標識 | 登録業者は営業所ごとに標識を掲げる。登録のない者は、似た標識も掲げてはいけない(22条) |
※家賃債務保証業者登録規程2条・3条・6条〜8条・22条・附則、令和3 問46(公式の正答)をもとに整理。
登録業者が守る業務のルール
登録業者は、借りる人などの私生活や業務の平穏を害する言動をせず、その権利や利益を侵害しないよう、適正に業務を行います(登録規程11条)。契約の前・契約したとき・求償権を使うときには、それぞれ書面のルールがあります。
| 場面 | ルール |
|---|---|
| 保証委託契約を結ぶ前 | 保証期間・保証の範囲・保証の限度額・保証委託料・求償権の行使などを書いた書面を交付して説明(電磁的記録でも可)(17条) |
| 保証委託契約を結んだとき | 契約の内容を書いた書面を、遅滞なく交付(18条) |
| 求償権を使って支払いを求めるとき | 求償権の額と内訳などを書面に記載する(19条) |
| 勧誘・広告 | うそを告げる、重要なことを告げない、誇大な広告は禁止(14条・15条) |
| 従業者 | 従業者であることの証明書を携帯させる。請求があれば見せる(12条) |
| 受け取った家賃 | 借りる人から受け取った家賃などは、自分の財産と分けて管理する(24条) |
※家賃債務保証業者登録規程11条・12条・14条・15条・17条〜19条・24条をもとに整理。
立替えと解除、令和7年10月の改正|立て替えても不払いは消えない・認定家賃債務保証業者
立て替えても、不払いはなかったことにならない
試験では、「家賃債務保証業者が賃料の代位弁済(立替え)をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される」という肢が誤りとされています(令和7 問6)。「保証業者が保証債務を履行していても、信頼関係が破壊されたとして、解除が認められる場合がある」という肢は適切です(令和5 問25)。
信頼関係が壊れたかどうかで解除を判断する考え方(信頼関係破壊の法理)は、条文ではなく判例によるものです。不払いによる解除のくわしいルールは「家賃滞納と契約解除・明渡し」の回で解説しています。
| 場面 | ポイント |
|---|---|
| 保証業者が家賃を立て替えた(代位弁済) | 借りる人の不払い(債務不履行)は、それだけでは否定されない(令和7 問6) |
| 保証業者が保証債務を履行している | 信頼関係が破壊されたとして、解除が認められる場合がある(判例・令和5 問25) |
| 立て替えた保証業者 | 借りる人に支払いを求める(求償)。求償のときの書面のルールがある(登録規程19条) |
※令和7 問6・令和5 問25(公式の正答)、家賃債務保証業者登録規程19条をもとに整理。
なお、家賃債務保証業者のような会社(法人)が保証人になるときは、極度額を決めなければ無効になるルール(民法465条の2)は当てはまりません。このルールは保証人が法人でない場合のものだからです(令和7 問30)。書面で契約するルール(446条2項)は、会社にも当てはまります。くわしくは「保証」の回で解説しています。
令和7年10月の改正|認定家賃債務保証業者
認定家賃債務保証業者は、改正された住宅セーフティネット法72条で新しくできた制度です(令和7年10月1日施行)。登録制度が告示のしくみなのに対して、認定は法律にもとづきます。認定を申請できるのは、登録を受けた家賃債務保証業者と、家賃債務の保証を行う居住支援法人です(20条2項・施行規則20条・33条1号)。
| 認定の基準 | 内容 |
|---|---|
| 認定するのは | 国土交通大臣(72条1項) |
| 居住サポート住宅の要配慮者からの申込み | 正当な理由なく拒まない(72条1項1号) |
| 親族などの連絡先 | 親族や友人・知人などの連絡先を出すことを、保証の契約の条件として求めない(72条1項2号・施行規則32条) |
| 保証人 | 保証人を立てることを、契約の条件として求めない(施行規則33条3号) |
| 保証委託料 | 契約の履行に必要な費用に照らして、不当に高くない(施行規則33条4号) |
| 情報の公示 | 契約の実績と、標準的な契約の内容・条件を、インターネットなどで公示する(施行規則33条2号) |
※住宅セーフティネット法20条2項・72条、施行規則20条・32条・33条(施行2025-10-01)、国土交通省・厚生労働省の関係事業者向け資料(令和7年6月)をもとに整理。居住サポート住宅は「住宅セーフティネット法」の回で解説しています。
試験に出る|ひっかけと過去問
よく出るひっかけ
| ひっかけ | 正しくは |
|---|---|
| 家賃債務保証業者は、国土交通大臣の登録を受けなければ営業できない | 登録は任意。登録を受けることが「できる」(登録規程3条1項) |
| 登録の更新は3年ごと(10年ごと) | 5年ごと(登録規程3条2項) |
| 登録簿は、一般には閲覧できない | 国土交通大臣が一般の閲覧に供する(令和3 問46・登録規程8条) |
| 保証業者が代位弁済をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される | 否定されない(令和7 問6) |
| 保証業者が保証債務を履行していれば、貸主は解除できない | 信頼関係が破壊されたとして、解除が認められる場合がある(判例・令和5 問25) |
| 認定家賃債務保証業者は、親族の連絡先を出すことを保証の条件にできる | 条件として求めない(住宅セーフティネット法72条1項2号) |
過去問の出題
令和3〜7年度の賃管の過去問で、家賃債務保証業者が主題の問題はありません。選択肢の1つとして出た問題が3問あります。認定家賃債務保証業者は、令和7年10月にできた新しい制度です。
| 区分 | 年度・問 | 出たポイント |
|---|---|---|
| 選択肢の1つ | 令和7 問6 | 代位弁済をしても、債務不履行は否定されない |
| 選択肢の1つ | 令和5 問25 | 保証債務を履行していても、解除が認められる場合がある |
| 選択肢の1つ | 令和3 問46 | 登録簿は一般の閲覧に供する |
| 補足 | 令和7 問30 | 会社(法人)が連帯保証人のときの極度額と情報提供 |
※問題文と公式の正答から1問ずつ数えたもの。令和2年度以前の「家賃保証会社の事務と基幹事務」の問題は、賃貸住宅管理業法ができる前の旧制度(賃貸住宅管理業者登録制度)の論点なので含めていません。
まとめ|登録は任意・5年ごとの更新、立て替えても不払いは消えない
- 家賃債務保証業者の登録は、国土交通大臣の任意の登録(告示)。5年ごとの更新で、登録簿はだれでも閲覧できる
- 登録業者は、契約前に保証の範囲や保証委託料などを書いた書面を渡して説明する
- 借りる人などの私生活や業務の平穏を害する言動はしない。受け取った家賃は分けて管理
- 保証業者が立て替えても、それだけで不払いはなかったことにならない。解除が認められる場合もある(判例)
- 令和7年10月から、国土交通大臣が認定する認定家賃債務保証業者。親族などの連絡先を保証の条件にしない
あわせて読みたい関連論点
出典・参考にした公式資料
- 家賃債務保証業者登録規程(平成29年国土交通省告示第898号・令和7年10月1日施行の改正後):2条・3条・6条〜8条・11条・12条・14条・15条・17条〜19条・22条・24条
- 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(e-Gov法令検索):20条・72条
- 同法施行規則(e-Gov法令検索):20条・32条・33条
- 民法(e-Gov法令検索):446条・465条の2
- 国土交通省「住宅セーフティネット制度」:住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律等について【関係事業者向け】(令和7年6月)
- 賃貸不動産経営管理士試験 令和3〜7年度の過去問と公式の正答(上の表の問題)
※写真はイメージです(生成AIで作成)。
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